リーガルチェックを弁護士に依頼する5つのメリットと弁護士費用

専門家監修記事
ネット上に上がっている雛形などを参考に契約書を作成してみたものの、不備があるのではないか、本当に損をしないか…などの不安を抱えていませんか?この記事では、リーガルチェックをする必要性やどこにお願いしたらよいのかなどをご紹介します。
阪神総合法律事務所
曾波 重之
監修記事
取引・契約

「契約書を作成したが、これで問題ないか不安…」

「相手から契約書の修正を求められているが、どう修正すればいいのかわからない」

「相手から契約書を渡されたが、不利な内容じゃないか確認したい」

このような不安を少しでも感じた場合、弁護士にリーガルチェックを依頼し、契約書の記載内容に「特例など記載内容に不足はないか」「法的な問題はないか」「契約内容に損はないか」などのチェックを受けましょう。

どれだけ良い会社でも常に好業績でトラブルが起きないとは限りません。正しい内容で作成された契約書は、業績が落ちた、トラブルが発生した時にあなたと会社を守ります

この記事では、契約書のリーガルチェックを行うメリットや費用、依頼できる弁護士の探し方、依頼時の流れなどを解説します。

この記事に記載の情報は2024年08月19日時点のものです
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契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼するメリット

契約書のリーガルチェックを行うメリットとしては、主に以下の5つがあります。ここでは、それぞれのメリットについて解説します。

  • トラブルの未然回避
  • 合意事実・合意内容の明確化
  • 対等な取引の実現
  • 契約後のフォロー
  • 英語の契約書への対応

1:トラブルを未然に回避できる

トラブルなくスムーズに契約・取引を進めるためには、最低限の法律知識を携えた上で、必要事項について漏れなく記載した契約書を作成しなければなりません。

十分な法律知識がないまま作成した場合や、問題発生時の対応に関する記載が不十分な場合などは、予想外のトラブルが発生して損害を被る可能性もあります。

リーガルチェックを行うことで、記載内容について法的視点からのチェックが受けられるため、トラブル発生リスクの軽減が見込める上、万が一トラブルが発生した場合も問題の迅速な解決が期待できます。

2:合意事実・合意内容を明確にできる

契約書を交わす際は、双方の合意事実・合意内容について、明確に記載しなければなりません。

あいまいな表現が用いられている場合は、権利義務などについて認識違いが起こる可能性があります。また責任の所在について記載内容が不明確な場合、トラブル発生時に問題が複雑化する恐れもあります。

リーガルチェックを行うことで、あいまいな表現や不明確な項目などについてチェックが受けられるため、合意事実・合意内容を明確にでき、より有効性の高い契約書の作成が望めます。

3:対等な契約が締結できる

円満な契約・取引を実現するためには、双方にとってバランスの取れた契約内容でなければなりません。

契約内容が自社に偏っている場合、契約そのものが頓挫する可能性があるだけでなく、企業の社会的信用に悪影響が生じる恐れもあります。一方、契約内容が相手方に偏っている場合、自社にとって不利益が生じることが考えられます。

また契約書については、表現や言い回しなどにも注意する必要があります。表現が多少異なるだけでも解釈が変化し、場合によっては企業利益に大きく影響することもあります。

リーガルチェックを行うことで、文言チェックはもちろん、契約内容のバランスなどについても確認してもらえるため、双方にとって対等な契約締結が見込めます。

4:契約後のフォローを依頼できる

契約後に取引先から「契約内容を変更してほしい」「契約書の一部分について再確認したい」など、さまざまな要望を求められることがあります。弁護士と顧問契約をしておけば、契約後のフォローも依頼できます。

リーガルチェックをしてくれた弁護士にそのまま依頼できるため、相手方ともスムーズに話を進めることができます。

5:英語の契約書にも対応してくれる

英語対応できる弁護士であれば、英文契約書にも対応してもらうことが可能です。海外と契約書をやり取りする際に重要なのは、外国の法律に違反していないかどうかです。日本で合法と定められていることでも外国では違法だったり、同じような法律でも対象となるものの範囲が異なっていたりします。

また、契約書に英文で正しく追記・修正するのは、常に英語に触れている人でなければ難しい部分も多々あります。手間をかけ、業務が遅くなるようであれば、弁護士に任せてしまいましょう。

契約書のリーガルチェックにかかる費用

契約書のリーガルチェックについては、「定型的でシンプルな場合」や「非定型的で複雑な場合」など、契約内容に応じて料金を設定しているところが多いようです。

ここでは、契約書のリーガルチェックを依頼した場合の費用について、一般相場を解説します。ただし、ここで紹介する費用相場はあくまでも目安であり、事務所によって異なります。費用詳細については、依頼前に必ず事務所へ直接確認しましょう。

定型的でシンプルな契約書の場合

契約条項や取引内容が定型的でシンプルな場合、費用相場としては3~5万円程度です。

また若干の修正が必要な場合や、多少の工夫が求められるものについては、作成費用として5~10万円程度が相場となります。

非定型的で複雑な契約書の場合

契約条項や取引内容が非定型的で複雑な場合、費用相場としては10~20万円程度です。

また、修正が必要な場合などにかかる作成費用としては、契約金額によって異なり、300万円以下であれば10万円程度300万円を超える場合は個別に設定されているところが多いようです。

なお事務所によっては、顧問料の範囲内で対応しているところもあります。そのため「顧問契約を結んだ上でリーガルチェックを依頼する」という選択肢もあるでしょう。その場合、月額3~5万円が相場です。

ただし対応範囲は事務所ごとに細かく異なるため、費用等も含めて詳細が気になる場合は、事務所に直接確認すると良いでしょう。

契約の種類で費用が変わる場合もある

契約内容で費用が変わる事務所もありますが、契約の種類ごとに費用が変わる事務所もあります。例えば、業務委託契約なら5万円から、契約解除に関する書類なら2万円から、などです。

そのため、リーガルチェックの費用は、契約の種類+内容の複雑さで大きく変わってきます。費用を確認する際は、契約書の種類を把握した上でご確認ください。

相談料・実費も頭に入れる

リーガルチェックを受ける際は、相談料や実費なども発生することを念頭に入れておきましょう。

相談料は一般的に30分5,000円~1万円です。また、紙代やコピー代が発生した場合、実費として請求される可能性があります。

リーガルチェックを依頼できる弁護士の探し方

リーガルチェックを依頼するのであれば【企業法務を得意とする弁護士】を探しましょう。どのように探せばよいのかを具体的にご紹介します。

弁護士を探す前に抑えるべきポイント

弁護士を探す際に、契約書の内容が関係する業界にその弁護士が実績を持っているか確認することも重要です。

例えば、工事請負に関する契約書のリーガルチェックを芸能界などまったく関係のない業界しか経験したことのない弁護士に依頼するのはおすすめできません。 あらかじめHPや電話(メール)相談でその業界に実績があるか確認しましょう。

リーガルチェックを依頼できる弁護士の探し方

リーガルチェックを依頼できる弁護士の探し方はさまざまです。知人や友人に企業法務を担当する弁護士がいない場合は、ネットで探しましょう。事務所ごとに経営方針や費用、特色が違うため、ネットで探す際は、できるだけ多くの弁護士を比較することをおすすめします。

多くのHPを比較するのが手間な方は、企業法務弁護士ナビの利用をおすすめします。

企業法務弁護士ナビでは、実績のある弁護士を掲載しているほか、地域や業種、相談内容からあなたにピッタリの弁護士を探すことができます。また、一覧で掲載されますので、簡単に比較することが可能です。

契約書のリーガルチェックを依頼する流れ

契約書のリーガルチェックを依頼する場合、以下の手順で進めるのが一般的です。

  1. 原案の提出・契約内容のヒアリング
  2. 問題点・修正点のリストアップ
  3. 修正対応・完成

1:原案の提出・契約内容のヒアリング

まず、契約書をリーガルチェックしてほしい旨をご相談ください。その後、原案を提出してもらうことになりますが、方法としては手渡し・メール・FAXなどがあります。なお、重点的にチェックしてほしい箇所がある場合や、予算や納期について懸念事項がある場合などは、提出時に伝えるようにしましょう。

リーガルチェックをスムーズに済ませるためには、依頼先と視点を共有することがポイントと言えます。依頼先と意思疎通が十分に取れていない場合、完成までに思わぬ時間がかかる可能性もあるため、依頼時は企業状況や契約内容などを明確に伝えるよう意識しましょう。

2:問題点・修正点のリストアップ

基本的に、受け取った契約書の問題点や修正点を弁護士がリストアップします。何が問題なのかについても、必要であれば丁寧にお答えします。

事務所によっては、リストにしないこともありますので、ご注意ください。

3:修正対応・完成

問題点や修正点を洗い出せたら、修正・追記していき、完成になります。依頼すれば、契約交渉に関するアドバイスや代理交渉なども行ってもらうことが可能です。

電子契約やAIによる契約書作成・レビューでもリーガルチェックは重要!

電子契約」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。近年では、パソコンなどによる電子契約が徐々に普及しており、2018年の調査アンケートでは従業員が50人を超える会社の約4割の会社が導入していると回答しました。

電子契約になった場合でも、リーガルチェックは欠かせません。紙の契約書と同様に、契約内容に不足・問題点がないかなどをしっかりチェックしてもらいましょう。

(参考:「企業IT利活用動向調査2018」特集にみるIT化の現状)

また、昨今のAI技術の台頭によりAI契約書作成・レビューサービスも普及していますが、「企業IT利活用動向調査」の2024年版において、従業員がリーガルチェックを行わず、偽情報をそのまま利用しているという実態も明らかになっています。

■生成AIの使用においては、機密情報の漏洩とハルシネーションが大きな懸念点となっている

生成AIに関する利用規定やガイドラインを策定している企業の割合は、会社で構築・契約した生成AIを使用している企業では68.6%に上ったのに対し、各自で契約・登録した生成AIを使用している企業ではわずか9.0%にとどまりました。
また、生成AIを使用していくうえでの懸念点を質問したところ、企業で構築・契約した生成AIを使用している企業では、「社内の機密情報(個人情報含む)を生成AIの学習データとして使用し情報漏洩する」が最多の67.3%に上りました(図2)。一方、各自で契約・登録した生成AIを使用している企業では26.1%にとどまり、これらの企業では利用規定もほとんど策定されておらず、情報漏洩リスクに対する危機感が薄いことがわかりました。また、各自で契約・登録した生成AIを使用している企業では、「生成AIが出力した偽情報を従業員が信じ業務で使用する」が46.3%で最多となり、会社で構築・契約し使用している企業でも42.3%となりました。業務で生成AIを使用していくうえでは、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)に対する懸念や不安が多いことが明らかになりました。

引用元:企業IT利活用動向調査2024

こういった点からも、AI契約書サービスを活用しドラフト時間を最小限にしつつ、本職の弁護士に最後のレビューをお願いするのが、健全な企業活動におけるベタープラクティスだと言えます。

まとめ

相手方と契約書を交わす際は、弁護士などの外部にリーガルチェックを依頼することで、トラブルの未然回避・合意事実や合意内容の明確化・対等な取引の実現などのメリットが見込めます。

弁護士へリーガルチェックの依頼では、あなたが作成した契約書のチェックだけではなく、

  • 相手方の作成した契約書に不利な内容がないかチェックしてほしい
  • 相手方から契約書の修正を求められたが、どうすればよいのかわからない
  • 契約内容を変更したいと言われたが、変更しても不利にならないかチェックしてほしい

など、送られてきた契約書や契約内容の変更についてもチェックしてもらうことが可能です。費用については、各事務所にご確認ください。

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