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年度単位で有期雇用の契約社員を半年ごとに更新している会社では、9月末で現在の契約期間が終了するというところも多いのではないでしょうか。
有期雇用として契約社員を雇用する場合、契約期間を定めているからには更新するかどうかは人材のニーズや個別の契約社員のパフォーマンスなどを総合的に判断したいところでしょう。 しかし、更新するかどうかを自社が自由に判断してしまって問題ないのでしょうか。
本記事では、契約社員の契約を更新する・しないに当たり、留意すべきポイントを解説します。
契約社員の契約更新を検討する場合、まず必要になるのは、その契約社員と締結した直近の雇用契約書を確認することです。契約書でどのような文言を記載したかによっては、契約を終了(以下、雇止めといいます)したくともできない場合があります。
契約書には、更新の有無について明記されていなければなりません。通常は以下の3パターンが定められています。
このように、更新の判断は直近の契約書の記載によって行います。
ただし、後述するようにここで「更新しない」と記載されていること、または協議した結果を根拠に雇止めをしたからといって、必ずしもそれが有効になるわけではないという点には注意が必要です。
また、契約を更新する場合であっても、契約更新の基準については漏れなく次の雇用契約書に明記しておく必要があります。特に「更新する場合があり得る」と定める場合は、どのような場合に更新あるいは雇止めとなるのかについて、基準を明確化し、事前に社員と共有しておくとよいでしょう。 こうしておくことで、仮に雇止めになったとしても、トラブルのリスクを下げられるでしょう。
更新せずに雇止めを行う場合、以下3つのいずれかに該当する契約社員については、30日前までにその予告をする必要があります。
なお、上記で挙げたようにあらかじめ契約書で「更新しない」と明記されている労働者については、事前の予告は必要ありません。
行政の基準では、雇止めの予告後または雇止めの後に従業員から求められた場合には、雇止めの理由を明示した証明書を交付しなければいけません。ただ、求められてから交付したのでは雇止めがトラブル化するリスクを高めますので、要望の有無にかかわらず、雇止めの予告時には理由を口頭で丁寧に説明するべきでしょう。
また同時に、書面でその理由が書かれたものを発行するという運用を基本としておくことをおすすめします。
契約社員の契約を更新しないことを「雇止め」と言いますが、2012年に改正された労働契約法第19条では、以下のいずれかに該当するケースで、雇止めが「客観的に合理性を欠き社会通念上相当であると認められないとき」は無効になると定められています(これを「雇止め法理」といいます)。
雇止めの合法性を判断する基準は、裁判例である程度確立してはいるものの、結局のところはケースバイケースでの判断となります。
そのため、特に何度も契約を更新しているような契約社員の雇止めは、正社員を解雇するのと同じくらいハードルが高くなります。
このように、労働契約法や判例が求める水準を完全に満たした上で雇止めを行うことは、非常に難しいものとなっています。まずは安易な雇止めは無効になるということを理解した上で、
これらに留意する必要があります。自社で判断しきれない場合は弁護士や社会保険労務士といった、外部専門家の意見を求めることも有効になるでしょう。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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