有期雇用契約社員の契約更新で気をつけるべきことは?

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有期雇用として契約社員を雇用する場合、契約を更新するかどうかを会社が自由に判断してしまって問題ないのでしょうか。 本記事では、契約社員の契約を更新する・しないに当たり、留意すべきポイントを解説します。
Ad Libitum(フリーランス人事)
松永 大輝
執筆記事
人事・労務

年度単位で有期雇用の契約社員を半年ごとに更新している会社では、9月末で現在の契約期間が終了するというところも多いのではないでしょうか。

 

有期雇用として契約社員を雇用する場合、契約期間を定めているからには更新するかどうかは人材のニーズや個別の契約社員のパフォーマンスなどを総合的に判断したいところでしょう。 しかし、更新するかどうかを自社が自由に判断してしまって問題ないのでしょうか。

 

本記事では、契約社員の契約を更新する・しないに当たり、留意すべきポイントを解説します。  

まずは契約書を確認する

契約社員の契約更新を検討する場合、まず必要になるのは、その契約社員と締結した直近の雇用契約書を確認することです。契約書でどのような文言を記載したかによっては、契約を終了(以下、雇止めといいます)したくともできない場合があります。

 

契約書には、更新の有無について明記されていなければなりません。通常は以下の3パターンが定められています。

  1. 更新しない →基本的には契約書に基づいて雇止めすることができます。
  2. 自動的に更新する →会社には基本的に更新する義務が生じます。
  3. 更新する場合があり得る →契約書に記載された判断基準(契約終了時の業務量、勤務成績、会社の経営状況など)によって、更新の可否を協議します。

このように、更新の判断は直近の契約書の記載によって行います。

 

ただし、後述するようにここで「更新しない」と記載されていること、または協議した結果を根拠に雇止めをしたからといって、必ずしもそれが有効になるわけではないという点には注意が必要です。

 

また、契約を更新する場合であっても、契約更新の基準については漏れなく次の雇用契約書に明記しておく必要があります。特に「更新する場合があり得る」と定める場合は、どのような場合に更新あるいは雇止めとなるのかについて、基準を明確化し、事前に社員と共有しておくとよいでしょう。 こうしておくことで、仮に雇止めになったとしても、トラブルのリスクを下げられるでしょう。

雇止めには事前予告が必要

更新せずに雇止めを行う場合、以下3つのいずれかに該当する契約社員については、30日前までにその予告をする必要があります。

  • 契約が合計3回以上更新されている
  • 契約期間が通算で1年を超えている
  • 1年を超える期間の契約を締結している

なお、上記で挙げたようにあらかじめ契約書で「更新しない」と明記されている労働者については、事前の予告は必要ありません。

雇止めの際には理由を明示する

行政の基準では、雇止めの予告後または雇止めの後に従業員から求められた場合には、雇止めの理由を明示した証明書を交付しなければいけません。ただ、求められてから交付したのでは雇止めがトラブル化するリスクを高めますので、要望の有無にかかわらず、雇止めの予告時には理由を口頭で丁寧に説明するべきでしょう。

 

また同時に、書面でその理由が書かれたものを発行するという運用を基本としておくことをおすすめします。

労働契約法で定める「雇止め法理」とは

契約社員の契約を更新しないことを「雇止め」と言いますが、2012年に改正された労働契約法第19条では、以下のいずれかに該当するケースで、雇止めが「客観的に合理性を欠き社会通念上相当であると認められないとき」は無効になると定められています(これを「雇止め法理」といいます)。

  • その契約社員の契約が何度も更新されており、また業務内容などを考慮すれば正社員の契約と変わらない場合
  • 契約社員が自身の雇用契約が次も更新されるだろうと期待することについて合理的な理由があると認められる場合

雇止めの合法性を判断する基準は、裁判例である程度確立してはいるものの、結局のところはケースバイケースでの判断となります。

 

そのため、特に何度も契約を更新しているような契約社員の雇止めは、正社員を解雇するのと同じくらいハードルが高くなります。

まとめ

このように、労働契約法や判例が求める水準を完全に満たした上で雇止めを行うことは、非常に難しいものとなっています。まずは安易な雇止めは無効になるということを理解した上で、

  • 契約更新を行う上では更新基準をできる限り明確にすり合わせること
  • 雇止めを行う場合はその理由について納得感のある説明責任を果たし、従業員とのトラブルを避けること

これらに留意する必要があります。自社で判断しきれない場合は弁護士や社会保険労務士といった、外部専門家の意見を求めることも有効になるでしょう。

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