金融商品取引法とは|目的と概要・法の禁止事項を分かりやすく解説

専門家監修記事
金融商品取引法とは、有価証券の発行や売買などの金融取引を公正にする目的で定められた法律です。会社は、自社や社員にリスクを負わせないためにも必ず知っていなければなりません。この記事では、目的やルール、禁止事項等をご紹介します。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
人事・労務

金融商品取引法(きんゆうしょうひんとりひきほう)とは、有価証券の発行や売買などの金融取引を公正にする目的で定められた法律です。また、この法律により投資家の保護や経済の円滑化を図っています。

 

本記事では、金融商品取引法について、さらに詳しくその概要や目的、金融商品取引法のルールについて解説します。

 

この記事に記載の情報は2021年01月15日時点のものです

金融商品取引法とは?

金融商品取引法は、元々は「証券取引法」として制定され、2007年に「金融商品取引法」と改名されました。株式や債券などの有価証券の発行や売買について、規制やルールを定めている法律のことです。

<金融商品取引法 第1条>

この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする。

【引用:金融商品取引法 第1条

金融商品取引法の目的について

2007年9月30日に施行された「金融商品取引法」は、元々は証券取引法でした。

 

金融市場改革や、金融を取り巻く環境が大きく変化し、金融商品や取引ルートも広がり、該当しない金融商品なども増加したことから、利用者保護と透明で公正な市場を目指すことを目的に施行されました。

金融・資本市場をとりまく環境の変化に対応し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目指し、平成18年6月7日、第164回国会において、「証券取引法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第65号)及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(同第66号)が可決・成立し、 平成18年6月14日に公布されました。

この法整備の具体的な内容は、大きく分けて、

  • (1)投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築

  • (2)開示制度の拡充

  • (3)取引所の自主規制機能の強化

  • (4)不公正取引等への厳正な対応

の4つの柱からなっています。

引用元:金融庁|金融商品取引法について

なかでも最大の変更点は、集団投資スキーム、信託受益権などを「みなし有価証券」と規定し、同じ法律の枠組みのなかで取り扱うようにしたことで、金融商品市場の健全化を図ったことでしょう。

ほかにも、広告における規制や販売・勧誘・契約の規制について顧客に応じた柔軟性も兼ね備えています。金融商品取引業には、以下の4つの種類があります。

 

  1. 第一種金融商品取引業
  2. 第二種金融商品取引業
  3. 投資助言・代理業
  4. 投資運用業

 

株式投資の口座を開設する証券会社は第一種金融商品取引業に該当します。また、金融商品取引業者が行う金融商品の販売や勧誘等の業務は、外務員として登録された従業員しか行うことができないので、覚えておきましょう。このように、金融商品という特性上、厳格に取り決めがなされています。

 

金融商品取引法のルールを解説

金融商品取引法では、さまざまなルールが設けられていますが、なかでも重要なポイントをご紹介します。金融商品取引法に関する理解を深めるためにも、ぜひ参考にしてください。

適合性の原則の遵守と断定的判断の禁止

金融商品取引法のルールで重要なのが、「適合性の原則」と「断定的判断の禁止」の2つです。

 

適合性の原則は、業者の勧誘を行う際には、「顧客の知識、経験、財産の状況、取引の目的に照らして、適切な勧誘を行わなければならない」というもので、堅実な投資をしたい投資家に対してハイリスクなものを紹介するなどの対応をしてはいけないというルールです。

 

また、「断定的判断の禁止」とは、「顧客に対して強い期待を抱かせるような断定的な判断で勧誘をしてはいけない」というルールを定めたものです。たとえば、「確実な利益が出る」などの表現がそれにあたります。

 

この2つのルールによって、投資家が不必要な損失に見舞われることがないようにしています。

損失補てん等の禁止

当然のことですが、金融商品の取引で発生した損益は、投資家の責任によって発生したものなので、特定の顧客を優遇するような、損失の穴埋め等を証券会社が行ってはいけません。

 

利害関係にある一部の投資家を優遇することは、公正な取引とはいえず、不平等な扱いとなるからです。

 

金融商品取引法では、こういったルールを「損失補てん等の禁止」として定めています。損失補てん等の禁止では、実際に損失を穴埋めするだけでなく、損失の穴埋めを約束するようなこともしてはいけません。

インサイダー取引の禁止

金融商品取引法では、「インサイダー取引」についても禁止しています。

 

インサイダー取引とは、上場会社等の内部情報を知る者や同人から情報の伝達を受けた者が、相手がこれを知らないことを奇貨として会社の株式等を売買し、利益を得る行為です。

 

インサイダー取引を規制しなければ会社の重要情報が発表されるタイミングに合わせて、内部情報を知る人が自由に利益を上げることができます。つまり健全な投資家とのバランスが保てなくなり、平等な取引ができない状態となるのです。

 

これを未然に防ぐために、証券会社は口座を開設する際、上場企業の役員や従業員に「内部者(インサイダー)」として届け出てもらいます。

上場企業等に一定情報を開示すること

金融商品取引法では、投資家が投資対象に対して、充分な投資判断材料を入手できるよう、上場企業等に一定の情報を開示するよう決められています

 

上場企業等が開示する情報としては、年に1回作成される事業内容や、経理状況などが記載された「有価証券報告書」、四半期ごとに提出される「四半期報告書」、「半期報告書」などの情報がこれに該当します。

 

また、有価証券報告書は利害関係のない公認会計士や監査法人の監査を受けて、適切な内容であるかどうかの監査証明をもらわなければなりません。

 

有価証券報告書や、四半期報告書、半期報告書以外にも企業の財政や経営に大きな影響を与えることが生じた場合には、「臨時報告書」や、会社の重要情報を開示しなければなりません。

 

まとめ

金融商品取引法は、2007年に施行され株式や債券などの有価証券の発行や、売買に関するルール、規制を定めた法律です。金融商品は、銀行預金とは異なり、大きな利益が得られる反面、大きな損失が発生することもあります。

 

だからこそ、公正公平な取引となるよう厳正に規約として定めているのです。

 

今回ご紹介した金融商品取引法に関するルールは、この他にも多くの規定がされており、これらのルールはすべて金融商品取引業者を規制し、金融商品を取引する環境を整備し、金融商品について知識が乏しい個人投資家を守るために制定されています。

 

株式投資の初心者にとって、わからないことも多い金融商品取引法ですが、非常に重要ですので、十分理解した上で投資を行います。

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