M&Aにかかる費用とは?買収・売却側別に解説

専門家監修記事
M&Aでは買収資金以外にも、各種調査などで多額の費用がかかることになります。したがって実際に検討を始める前に、こうした費用について大まかに知っておく必要があります。この記事では、M&Aにかかる費用についてご紹介いたします。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
M&A・事業承継

M&Aは事業の拡大を素早く、広く行っていくための手段として、近年利用する企業が増加しつつあります。ノウハウや技術力をそのまま自社に取り込み、シナジー効果も期待できるなど、そのメリットは非常に大きく多岐に渡ります。

 

一方で、M&Aでは買収資金以外にも、さまざまな費用がかかることになります。M&Aが完了する前にも、各種調査に多額の費用がかかることになるので、実際に検討を始める前に、こうした費用について大まかに知っておく必要があります。

 

この記事では、M&Aにかかる費用についてご紹介いたします。

 

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この記事に記載の情報は2021年07月13日時点のものです
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買収・売却価格の決め方

買収・売却価格は、主に現時点での企業価値に加えて、そこから数年(主に3年程度)の営業利益を合わせた額が大まかな目安となります。この算定を厳密に行うにはかなり複雑なチェックが必要で、営業利益なども予想であるため、あくまで目安であると考える必要があります。

企業価値の算定

企業価値は、

  • マーケットアプローチ
  • インカムアプローチ
  • コストアプローチ

の3種類で算定されています。

 

マーケットアプローチ

マーケット(いわゆる株式市場など)におけるその企業の価値を基準に、相対的に企業価値を算出します。

インカムアプローチ

将来的に獲得することが予想される配当や利益を評価し、企業価値を算出します。

コストアプローチ

企業が現在所有している資産と負債の差を出すことによって企業価値を算出します。

 

基本的にはこれらの3つを組み合わせて、企業価値が算出されます。

価格交渉

M&Aにおいて、買い手企業にとっても売り手企業にとっても気になるのが価格です。価格交渉は主に2通りの方法で行われ、それぞれにメリット、デメリットがあります。

 

個別交渉

個別交渉の形を取る方法では、互いに条件を提示している状況で、最もマッチする相手を探します。この方法の場合、まず交渉相手を決定し、その会社と交渉に入り、不調に終わった場合には、次に条件に適合する会社を探すことになります。

 

互いの条件に合う会社同士の交渉となるため、円満なM&Aが行われることも少なくありません。さらに、下記で述べる入札とは異なり、交渉の結果、売却を取りやめることが可能なのもメリットの一つとして挙げられます。

 

入札(オークション)

個別交渉とは異なり、多くの企業のなかから買収先を探すのがこの入札方式です。入札方式では、どの企業がM&Aによる売却を検討しているのかわからないよう、名前を伏せたうえで情報を公開します。その情報に基づいて買収を検討している企業がオファーを出し、個別交渉へと移行していくものです。

 

入札方式の場合、多くの企業が競合して買い手が決まるため、売り手企業側の事業に希少価値があったり、高い競争力があったりした場合には、高い額で売却できる可能性が高くなります。

 

一方でデメリットとして、多数の企業に情報を開示するため、漏洩の問題をクリアする必要があり、また売却を途中で取りやめられない場合があることも挙げられます。

買収側の費用

買収側にかかる費用は、企業の売却価格だけではありません。M&Aの手続きにも、ある程度の経費がかかってきます。そのなかでも主なものは、仲介会社に対する仲介手数料や報酬、デューデリジェンスと呼ばれる詳細な企業の調査費用などです。

仲介手数料・報酬

M&Aを仲介する業者への報酬体系はさまざまです。相談を受け、着手金、中間報酬、成功報酬をそれぞれ請求するような仲介業者もあれば、完全成功報酬型の業者もあります。着手金を取るタイプの業者の場合には、50〜100万円程度の費用が一般的な相場となっています。

 

成功報酬に関しては、M&Aにおける企業の売買金額をベースに考えることになります。一般的には、売買価格が低くなるほど手数料率が高くなり、価格が上がるにつれ、5%、4%、3%と下がっていくことになります。中小企業の場合は、成功報酬の5%前後が相場であると考えておくとよいでしょう。

デューデリジェンス(買収監査)費用

M&Aを行う上で欠かせないデューデリジェンスにも費用が必要です。デューデリジェンスは法務、財務、ビジネスなどさまざまな分野の専門家が調査を行い、詳細な分析を実施します。つまり、非常に高度な知識を持った人材が求められているのです。

 

デューデリジェンスは基本的にM&A仲介業者か、弁護士や公認会計士などの専門家に依頼することになります。調査にかかる費用は、対象となる会社の規模、業者ごとの料金体系、実施するデューデリジェンスの内容によって異なるため、一概にいくらということはできません。

その他

M&Aでは、これまで紹介してきたような企業自体の買収費用や、デューデリジェンスのような調査費用のほかにもお金がかかる場合があることを把握しておく必要があります。

 

まず確実に避けて通れないのが税金です。買い手企業の場合には、買収の際に消費税が課されることになります。M&Aでは決して小さくない価格で売買が行われ、消費税の額も自然と大きくなるので注意が必要です。

 

またこのほかにも、事業によってはデューデリジェンス以外の調査(例えば土壌調査など)が必要な場合もあります。それらを行う場合には、その分の調査費用が必要になることを把握しておく必要があります。

のれん代について

企業を買収する際には、企業の純資産の額がそのまま買収金額になることはまずありません。その企業が持つ技術力やブランド力も、価値として買収金額に上乗せされるからです。したがって、買収金額と企業の持つ純資産の額には差が生じることになります。この差額を通称「のれん代」と呼んでいます。

 

のれん代は費用としては大きいため、買収時に一度に計上すると会計上大きな影響を与えかねません。そこで、複数年に分けて計上する償却の措置が取られるのが、日本では一般的です。

 

一方、国際基準では償却は行わず、買収当時に見積もられた価値が数年後に大きく下がるなどした場合に、減損処理を行います。日本の場合と異なり、複数年にわたって費用がかさむわけではありませんが、大きく価値が下がった場合には、急に大きな損失として計上される可能性があります。

 

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売却側の費用

M&Aにおいて費用がかかるのは、企業や事業を売却する側も同じです。費用の種類としては、主にM&A仲介業者に支払う仲介手数料や、各種税金などです。

仲介手数料・報酬

売却側の企業にとっても、もちろん仲介業者の存在は重要です。この仲介業者へ支払う着手金や中間報酬、成功報酬などが主な支出となります。買収を行う企業同様、仲介業者への費用は業者によって異なり、各段階で手数料や報酬を求める業者から、完全成功報酬型の企業までさまざまです。

税金

買い手企業は買収の際に所得税がかかりますが、売り手側では所得税、もしくは法人税が課税されることになります。

 

所得税がかかるのは、株主が自然人の場合の株式譲渡についてです。所得税は売却額の20%です。

 

一方で株主が法人の場合や、企業が売却費用を受け取ることになる事業譲渡の場合は、法人税がかかることになります。法人税は売却価格の30%になります。

その他

定款において株券発行の旨の記載がある場合には、株券を発行することになります。そうした場合、印刷会社に発行を依頼し、数万円程度の発行費用が必要になります。

M&Aに弁護士をつけるメリット・費用

M&Aでは、企業法務分野、特にM&Aに関する案件を得意とする弁護士に相談することが、円滑に安心して手続きを進めるためによいとされます。なぜなら、M&Aでは法関係の諸問題や調査資料の作成などに対応することが多く、これらを適切にこなすことができるのが弁護士だからです。

 

M&A仲介業者のように包括的にサポートする法律事務所もあり、弁護士の存在は欠かせないものとなりつつあります。

買収側

M&Aで買収側が弁護士を雇うメリットとは何でしょうか。

 

メリット

M&Aではさまざまな契約や合意がなされることになります。相手企業の情報を得る際に締結する秘密保持契約や、最終合意契約などがそれにあたります。こうしたさまざまな契約行為を行う上では、法的知識を持った弁護士の存在は欠かすことができません。

 

また、弁護士が最も力を発揮するのが法務デューデリジェンスです。法務デューデリジェンスでは、事業における知的財産の管理や許認可、労務契約の状況など、さまざまな法律関係が調査されることになります。法的リスクはここでもれなく洗い出し、将来的起こり得るトラブルを未然に防ぐ必要があります。

 

弁護士の力を借りてこれを行うことが、合理的かつ、一般的です。

 

費用

弁護士を雇う際の費用は事務所によってさまざまです。基本的には相談を行い、顧問契約を結ぶ、もしくはデューデリジェンスなどを依頼する、といった流れになります。初回相談に関しては1万円程度の場合もあれば、無料という事務所もあります

 

そこから先は事務所ごとに大きく異なり、時間あたりの費用を請求するタイムチャージ制の事務所や、着手金に加えて売買価格の数%程度の成功報酬を費用とする事務所などがあります。また、デューデリジェンスや登記などの費用は別途必要な場合もあるので注意しましょう。

売却側

一方で売却側が弁護士を雇うメリットとは何でしょうか。

 

メリット

売却側にも買収側と同様に、M&Aを行う際には法的問題がつきまといます。特に最終合意契約書などには、M&A成立後の問題発生時における手続きなどが盛り込まれています。こうした契約を詳細にわたって確認し、自社にとって不利な条件がないかチェックする必要があります。

 

また、デューデリジェンスには法的な観点から行う法務デューデリジェンスがあります。また、そのほかのデューデリジェンスでも法的問題が生じる場合があります。こうした際、すぐにトラブルへと対処できる体制が整っていることが望ましいでしょう。つまり、あらかじめ弁護士に依頼しておくことが合理的なのです。

 

費用

費用に関しては、基本的には買収側と大きな差はありません。相談料顧問契約料などが主な費用となってきます。しかし、デューデリジェンスについては基本的に買い手側の企業が調査を行うため、この分の費用が売却側にかかることはありません。

 

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まとめ

買収側、売却側の費用は、大まかに以下の通りとなります。

 

買収費用

仲介手数料

税金

デューデリジェンス費用

弁護士費用

買収側

企業価値+営業権

売買金額×1〜5%

消費税

数十万〜数百万円

各事務所による

売却側

なし

売買金額×15%

所得税or法人税

なし

各事務所による

 

このほかにも登記のための費用や、別途調査を行う場合はその費用が必要になります。

 

また、買収側はのれん代を頭に入れておく必要があります。特に国際基準に照らし合わせた場合、状況によっては大きな減損によって営業に支障が出かねません。

 

M&Aは決して安い投資ではないため、弁護士などの専門家を雇い、安心できる体制を作りましょう。

 

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