相手先と契約を結ぶ際は、契約書を作成して、書面にて互いの合意内容などを明らかにするのが一般的です。
ただし契約書の作成にあたっては、取引内容に応じて必要事項を記載する必要があります。記載内容に不備があると、いざという時に期待通りの効力を発揮しない恐れがあり、場合によっては不利益が生じる可能性もあります。
不備なく契約書を作成する自信がない場合は、外部の専門家に作成代行を依頼すると良いでしょう。作成代行を依頼することで、取引内容に適した契約書の作成が望める上、契約書作成にかかる手間や労力も削減できます。
この記事では、契約書の作成代行の依頼先や費用、依頼時の流れなどを解説します。
契約書の作成代行の依頼先
依頼先としては弁護士や行政書士などがありますが、それぞれ対応できる業務範囲は異なります。
依頼にあたっては、依頼内容に応じてどちらを選択するべきか判断する必要があります。
弁護士と行政書士の一番の違いは、実際の紛争の交渉、裁判の経験があるか無いかです。
行政書士は原則として、依頼者の代理人として交渉や裁判を対応することが法律上認められていません。
契約書を作成する重要な意義は、当該取引に関して紛争を予防する点にあります。
そして、実際の紛争を経験している弁護士の方が紛争になりやすいポイントを把握していますので、紛争を予防するのに効果的な契約書作成に適任です。
一方、紛争になる可能性が非常に低く、雛形どおりの契約書で足りるようなケースでは、弁護士に依頼するよりも行政書士に依頼した方がコストパフォーマンスは良いといえます。
また、弁護士は法律事務全般に対応しているため、契約書の作成代行のほか、契約内容に関するアドバイスやトラブル発生時の交渉サポートなども依頼できます。
一方、行政書士は書類作成対応がメインとなるため、弁護士ほど対応範囲は広くありません。
したがって、「契約書の作成も含め、契約に関する幅広いサポートを受けたい」という場合は弁護士、「契約書さえ作成できればよい」という場合は行政書士を選択すると良いでしょう。
契約書の作成代行を依頼する際の費用
依頼費用は契約内容によって異なり、一般的には取引内容が定型的か非定型的かによって、それぞれ料金設定しているところが多いようです。
ここでは、それぞれの場合についての費用相場を解説します。
なお、ここで紹介する費用相場はあくまで目安であり、なかには契約書の枚数ごとに料金設定している事務所もあります。費用詳細については、直接事務所に確認することをおすすめします。
定型的な取引の場合
取引内容が定型的でシンプルな場合、費用相場としては5~10万円程度です。
非定型的な取引の場合
取引内容が非定型的で複雑な場合の費用は、契約の目的金額によって設定しているところが多いようです。
一般的に、目的金額が300万円以下であれば費用相場は10万円程度、300万円を超えるものについては個別に設定され、場合によっては100万円以上となるケースもあるようです。
契約書の作成代行を依頼する際の流れ
契約書の作成代行を依頼する際、以下の流れで進めるのが一般的です。
- 関係資料の用意
- 依頼先との相談予約(メールや電話など)
- 依頼先との相談実施・依頼内容の確定
- 依頼先による契約書案の作成
- 契約書案の受取・確認
- 修正依頼(修正が必要な場合)
- 契約書の完成
なお契約書の作成にあたって、記載事項や納期など要望がある場合は、相談時にあわせて伝えると良いでしょう。また契約内容や事務所などによってバラつきはありますが、依頼してから完成するまでの期間は2週間程度というケースが多いようです。
契約書の作成代行を依頼するメリット
契約書の作成代行を依頼することで、作成にかかる手間や労力を削減することができますが、ほかにも以下のようなメリットがあります。
取引内容に適した契約書を作成できる
スムーズに契約手続きを進めるためには、取引内容に適した契約書を作成する必要があります。相手方との力関係や契約に至るまでの背景など、個別事情について正確に反映されていない場合、契約書がうまく機能しない可能性もあります。
またインターネット上には、契約書の雛形がダウンロードできるサイトなどもあります。
しかし、雛形では一般的な条項のみ記載されているため、取引内容によっては対応しきれない場合もあります。
契約書の作成代行を依頼する場合、作成にあたって契約内容に関するヒアリング調査なども行われます。取引内容ごとの個別事情について、しっかり把握した上で作成手続きが行われるため、自力で作成するよりも取引内容に適した契約書の作成が期待できます。
リスク軽減・トラブル回避が望める
契約書の作成にあたっては、第三者がみても理解できるよう、合意内容などについて具体的かつ明確に記載する必要があります。あいまいな表現が用いられている場合、双方で解釈に齟齬が生じ、のちのち大きなトラブルとなる可能性があります。
また、契約書では法律用語を使用する必要があります。特に、接続詞や言い回しなどは細かい使い分けが求められ、言い回し一つで企業利益に大きく作用する場合もあります。
契約書の作成代行を依頼することで、自社にとって不利な条件にならないよう、表現や言い回しなど配慮した上で作成手続きが行われます。また「記載事項に法的問題性はないか」などのリーガルチェックも依頼できるため、自力で作成するよりもリスク軽減・トラブル回避が望めます。
まとめ
自力で不備のない契約書を作成する自信がない場合は、外部に作成代行を依頼することで、契約内容に適した契約書を作成することができます。
依頼先としては弁護士や行政書士などがあり、契約に関する幅広いサポートを依頼する場合は弁護士、契約書の作成だけを依頼する場合は行政書士などが選択肢としてあります。
また依頼費用は「取引内容が定型的か非定型的か」によって異なり、取引内容が非定型的で目的金額が300万円を超えるような場合は、費用が高額になることもあります。なお依頼にあたっては、事前に関係資料を整理し、要望などがある場合は相談時にあわせて伝えることで、スムーズに進めることができるでしょう。
債権回収に注力している弁護士であれば、回収対応についてのアドバイスや各手続きについてのサポートなどが受けられるため、スムーズな回収が望めます。特に、自力で回収対応を進める自信がない場合などは依頼することをおすすめします。
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