著作権に関する3つの契約書の作成方法【ひな形つき】

専門家監修記事
著作権に関する契約・取引をトラブルなく済ませるためには、契約書が必要不可欠です。主な契約書としては3種類あり、自力で作成できる自信がなければ弁護士へ相談しましょう。この記事では、著作権に関する契約書が必要な理由・契約書の種類・雛形を解説します。
知的財産

著作物に該当するものを売買・譲渡する場合は、あらかじめ著作権の取り扱いについて契約書を作成することが自分のブランドを守るためにも、トラブルから会社を守るためにも、また今後の事業の発展のためにも重要です。

著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法第2条1項)」に該当するものであり、具体的には以下のようなものです。

一 小説、脚本、論文、講演などの言語の著作物

二 音楽の著作物

三 バレエ、ダンスなどの舞踊又は無言劇の著作物

四 絵画、版画、彫刻、漫画などの美術の著作物

五 建築の著作物(設計図又は図形の著作物)

六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物

七 テレビドラマ、ネット配信動画、ゲームソフトなどの映画の著作物

八 写真の著作物

九 ソフトウエアなどプログラムの著作物(著作権法 第10条)

上記のようなものを外部業者と売買または賃貸している方は、契約書があることで一定のトラブル回避が望めます。この記事では、著作権の契約書の種類・雛形、弁護士に依頼できることなどを解説します。

 

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著作権に関する契約書が必要な理由

契約時に、契約書を作成せずに口約束などで済ませてしまうと、「○○という内容で合意したはず/いや、□□と聞いていた」など、のちのちトラブルとなる可能性があります。契約書を作成しておくことで、双方の合意内容や権利範囲などを明文化することができるため、トラブルの未然防止などが望めます。

ただし「契約書であればどのような形でもよい」というわけではなく、記載内容があいまいな場合などは、十分な効力を発揮しないこともあるため注意しましょう。例として、著作権をめぐるトラブルとしては以下があります。

サプリメントを製造販売するA社が、コンピューターシステムを開発販売するB社に対して、管理システムの開発を委託。しかしA社は、契約期間後もプログラムを無断コピーして利用を続け、これに対してB社が「自社が作成したHTMLの著作権を侵害している」として、約2,000万円の損害賠償を請求したという事例です。

裁判所は「本件におけるHTMLの場合、表現範囲が限定されており、誰が作成しても同じようなものになると言える」とした上で、B社が作成したHTMLについて「創作性は認められず、著作権を侵害しているとは言い難い」との判断を下し、請求を棄却しました。

参考文献:2017WLJPCA03149001

上記のようなケースでは、契約期間後のプログラム・HTMLの取り扱いについて、あらかじめ契約書に詳細を明記しておくことで、ここまでトラブルが拡大する前に解決できていた可能性があります。

著作権に関するトラブルは、商品・動画・音楽・漫画・デザイン・キャラクターなどさまざまあり、最近ではWebサイトに関するトラブルなども発生しています。著作権に関する契約・取引を交わす場合は、契約書を作成してできる限り備えておく必要があるでしょう。

著作権に関する3つの契約書と雛形

著作権に関する契約書としては、主に以下の3種類があります。ここでは、それぞれの契約書の記載条項や雛形などを解説します。

  • コンテンツ制作委託契約書
  • 著作物利用許諾契約書
  • 著作権譲渡契約書

コンテンツ制作委託契約書

コンテンツ製作委託契約書とは、著作物の制作を依頼するような場合に交わされる契約書で、「外部ライターに記事執筆を依頼するケース」などが該当します。なお作成にあたっては、依頼内容・納期・制作代金などの事項を記載します。

雛形

作成例としては以下の通りです。

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著作物利用許諾契約書

著作物利用許諾契約書とは、A社の著作物をB社が利用するような場合に交わされる契約書で、「自社が著作権を持っているキャラクターについて、他社に映像化や商品化のための利用などを認めるケース」などが該当します。作成にあたっては、利用範囲・利用料・有効期間などの事項を記載します。

なお、あくまで「著作物の利用を許可するのみ」であるため、権利そのものは移転しません。

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著作権譲渡契約書

著作権譲渡契約書とは、A社の著作物をB社に権利ごと引き渡すような場合に交わされる契約書で、「自社が制作したWebサイトを他社へ納品するケース」などが該当します。作成にあたっては、譲渡範囲・譲渡権利・対価などの事項を記載します。

なお著作物利用許諾契約書とは異なり、この場合は権利そのものが他社へ移転します(著作者人格権は除く)。

雛形

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今までの契約書に著作権の項目を追加する方法

場合によっては「現在の契約書では、著作権に関する記載が不十分」というケースも考えられます。そのような場合は、別途追加対応を行う必要があります。ここでは、契約書の記載項目を追加する際の方法について解説します。

双方で内容の変更について交渉する

まずは相手方に、「契約書の内容を変更したい旨」や「追加したい内容」などを伝え、内容変更について合意を取りましょう。

なお、なかには「本契約について内容変更する際は、事前に双方で協議したのち、書面にて契約を結び直すことによって行うことができる」など、変更時の条件が記載されている場合もあります。その場合は、変更条件に従って対応しなければなりません。

内容変更に関する覚書を作成する

次に、双方の合意内容・変更内容を記載した「覚書」を作成して書面に記録しておきます。作成時は、以下の事項について記載しましょう。

  • 変更前に交わした契約書の締結日
  • 変更する箇所
  • 効力が発生する日付

なお作成にあたっては、特に細かい定めがあるわけではありませんが、一例を紹介すると以下の通りです。

覚書

A社(以下「甲」)とB社(以下「乙」)が、令和○○年○月○日に締結した○○契約書(以下「原契約」)について、令和○○年○月○日付をもって以下の通り変更することを合意する。

第1条(○○料の変更)

原契約書第○条の○○料「金○○円」を「金○○円」に改める。

第2条(契約期間の変更)

原契約書第○条の契約期間「令和○○年○月○日」を「令和○年○月○日まで」に改める。

第3条(効力発生日)

この覚書の効力は令和○○年○月○日より発生する。

本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し甲乙両者が記名押印の上、各1通ずつ保有するものとする。

令和○○年○月○日

 

(住所)○○

(会社名)株式会社○○

(代表者氏名)○○ 印

 

(住所)○○

(会社名)株式会社○○

(代表者氏名)○○ 印

 

署名・押印し適切に保存する

覚書の作成にあたっては、「内容変更に関する覚書を作成する」で挙げた記載事項に加え、「署名・捺印」も必要となるため注意しましょう。署名・捺印がない場合、契約書類として十分な効力を発揮しない恐れがあります。覚書を交わす際は、必ず署名・捺印をしたのち、紛失しないよう保存しておきましょう。

 

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著作権の契約書について弁護士に依頼できること

契約書を作成する際は、取引・契約内容に沿ったものでなければならず、自力で作成するには手間・労力がかかります。また、「著作権に関する3つの契約書と雛形」で紹介した雛型を活用するのも一つの手段ですが、そのまま流用するだけでは現実の取引内容と乖離したり、自社にとって不利な内容になってしまったりする恐れもあるため、注意しましょう。

もし記載事項に不備がある場合、売上低下・信頼損失などのトラブルへつながり、企業にとって大きな損失を及ぼす可能性もゼロではありません。契約書作成に不安がある場合は、弁護士へ相談しましょう。

弁護士であれば、契約書の作成を依頼できるだけでなく、「記載内容に違法性はないか」というリーガルチェックも任せられます。さらに、今後起こり得るトラブルに備えた「利用規約の作成・チェック」なども依頼でき、問題回避に向けた手厚いサポートが見込めます。取引内容や自社の利害関係等についてしっかり説明して、自社に有利な契約書を作ってもらうようにしましょう。

まとめ

著作権に関する取引・契約を交わす際は、それぞれの合意内容をまとめた契約書を作成することで、権利義務の明確化やトラブルの未然防止などのメリットが見込めます。契約書の種類としては、コンテンツ制作委託契約書・著作物利用許諾契約書・著作権譲渡契約書などがあり、契約内容に応じて作成します。

ただし、自力で契約書を作成するには手間・労力がかかる上、内容に不備があってはいけません。できる限りトラブルを避けるためにも、弁護士の手を借りるのが良いでしょう。

弁護士であれば、契約書作成や法的視点からのチェックなどを依頼でき、手間をかけずに適切な契約書を作成することができます。また、なかには初回無料相談を行っている事務所などもあるため、少しでも不安を感じている方は一度利用することをおすすめします。

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