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人事異動は多くの企業で実施されていますが、なぜ人事異動が必要なのか知っていますか?
人事異動は単に人を動かすだけでなく、組織の健全性を維持し、社員の成長を促す目的があります。経営に欠かせない重要な施策です。
本記事では、人事異動の具体的な目的と種類、誰が決めるのか、会社・社員それぞれのメリット・デメリットを解説。実施する際の具体的な手順や退職を防ぐためのポイントもわかりやすく説明します。
人事異動とは、企業が社員の配置・役職・勤務地・勤務形態などを変更する、労働契約に基づく権限の行使です。
法律の観点から見ると、権限は雇用契約を締結した時点から認められるものです。就業規則に配転規定がある場合、会社は配転命令権に基づいて社員に異動を命じることができます。
人事異動には、同一企業内での変更にとどまる「企業内人事異動」と、グループ企業や別会社との関係が生じる「企業間人事異動」の2種類があります。
| 分類 | 種類 | 概要 |
|---|---|---|
| 企業内 | 配置転換(配転) | 担当職務や所属部署の変更 |
| 転勤 | 勤務地の変更 | |
| 昇格・降格 | 役職・等級の変更 | |
| 企業間 | 出向 | 元の労働契約を維持したまま別会社で勤務 |
| 転籍 | 労働契約自体を別会社へ移転(本人同意必須) |
企業内異動の代表例は、配置転換(配転)・転勤・昇格・降格です。いずれも労働契約の当事者である会社との関係は変わりません。
一方、企業間異動にあたる出向と転籍は大きく性質が異なります。出向は元の会社との労働契約を維持したまま別会社で働く形態で、転籍は労働契約そのものを別会社に移す形態です。
転籍は元の会社との労働契約を終了させ、転籍先との間で労働契約関係を成立させることになるため、社員本人の個別同意が必要になります。
人事異動の実施時期は法律で定められておらず、企業が独自に決定します。一年中、いつおこなっても問題ありません。
しかし一般的には、4月と10月に集中する傾向があります。4月は最も実施件数が多い時期です。多くの企業が3月決算を採用しているため、会計年度の切り替わりと新入社員の配属、定期的な組織改編が重なります。
10月は、上半期の評価面談の結果を踏まえて、下半期の事業目標達成に向けた人員配置を最適化するために実施されるケースが多いです。
また業界や企業によっては、急な欠員補充や新規プロジェクトの立ち上げに伴い、上記以外のタイミングで随時おこなわれる場合もあります。
会社が人事異動をおこなう主な目的は、組織全体の生産性向上・人材育成・マンネリ防止・企業戦略への対応・不正防止の5つです。
目的を明確に持たないまま実施すると、現場に混乱を招き、生産性を低下させる原因にもなりかねません。以下で5つの目的をそれぞれ詳しく解説します。
複数の部署や職務を横断的に経験させ、視野の広い人材や将来の経営幹部候補を育成することが目的です。
開発・営業・管理部門など異なる職種の経験により、社員は会社全体の事業プロセスを理解できるようになります。新入社員や若手社員を対象としたジョブローテーションも、人材育成の一環です。早期の適性見極めとキャリアの基礎づくりを目的として実施されます。
多様な職務経験を積むと、社内でしか通用しないスキルにとどまらず、市場価値の高いマルチスキル人材へと成長できるでしょう。ひとつの業務に固執せず幅広い視野を持つ人材は、将来のマネジメント層としても活躍しやすいといえます。
社員一人ひとりの適性やスキルを最大限に活かせるポジションに配置し、組織全体の成果を最大化することが目的です。
業績がパッとしない社員が配属先の変更後に大活躍するようになった、といった話は珍しくありません。部署異動により、社員が本来の実力を発揮できるようになる可能性は十分にあります。
本人がまだ気づいていない才能を引き出すために、あえて未経験分野へ配置転換をおこなうケースもあるでしょう。
個人の成果が上がれば、チームや組織全体の生産性向上につながります。適材適所を目的した人事異動は、社員の仕事への満足度やエンゲージメントを高める効果も期待できる施策です。
長年同じ業務を続けると生じる業務のマンネリ化を防ぎ、新たな環境での刺激によって労働意欲を高めるのも目的のひとつです。
人は同じ環境に留まりすぎると、自発的な学習や課題解決の意識が薄れ、現状維持に走る傾向があります。慣れによる社員の労働意欲低下が業績悪化の原因になる可能性は否定できません。
定期的な配置変更は、個人だけでなく組織全体に活力を注入する仕組みとして効果的です。新しい職務での適度な緊張感と挑戦の場を与え、モチベーションを回復・維持できます。
4つ目は、企業戦略のための配置変更を目的とした人事異動です。新しい経営方針・事業展開・新規事業の立ち上げに際し、必要な経験と実力をもった人材を集中配置します。
また、事業縮小や経営不振の部門から成長分野へと人員をシフトさせ、経営資源の最適配分をおこなうケースもあります。人員削減を伴う解雇とは異なり、雇用を維持しながら経営の立て直しを図れる点が人事異動の強みです。
市場環境の急速な変化に適応するために、会社全体の組織図や人員配置を柔軟に見直す経営判断の一環として実施されます。
業務の属人化や横領などの不正行為の防止も、人事異動の目的のひとつです。同じ社員がずっと同じ業務を担当している状態が続くと、外部からの干渉がなくなりやすく、結果として不正の温床になる可能性があります。
定期的に担当者を変更すると、第三者の目が入りやすくなり、隠れたミスや横領・取引先との癒着といった不正の発覚・防止につながります。
金融機関や警察・国税庁などの公務員において定期異動が厳格にルール化されているのは、健全性維持の側面が特に大きいためです。
人事異動のメリットは、会社にとっては組織活性化とガバナンス向上、社員にとってはキャリア形成の機会とスキル獲得の2点です。
一見、不本意に思われる異動命令であっても、双方にとって好影響をもたらす相乗効果が生じます。会社・社員それぞれの具体的なメリットを以下で解説します。
会社側のメリットは、社員の適材適所による組織の活性化と、不正や属人化を排除しやすくなるリスクヘッジ効果です。
社外から新たに採用せずに社内の人員を最適化できるため、採用コストやミスマッチコストを抑えられます。また、担当者の変更により業務プロセスのマニュアル作成が義務づけられ、組織全体の仕組み化が自然と推進される点もメリットです。
さらに、個人のミスマッチを解消すると離職防止や社員エンゲージメントの向上にもつながります。
社員にとっての最大のメリットは、多角的な視野を持ちスキルを身につけられ、ビジネスパーソンとしての市場価値を高められる点です。
ひとつの部署にとどまるだけでは得られない、全社的な関わりや新たな職務スキルを、会社の費用負担で習得できます。社内に新たなネットワークができるため、将来マネージャーへ昇格した際にも仕事が進めやすくなる側面もあるでしょう。
また、職場異動によって人間関係がリセットされ、これまで抱えていた悩みから解放されるケースもあります。
人事異動のデメリットは、会社にとっては一時的な業務効率の低下、社員にとっては新しい環境への適応ストレスが発生する点です。
デメリットを把握しておくと、フォローアップの方針を事前に検討しやすくなります。以下で会社・社員双方の課題を解説します。
会社側の主なデメリットは、異動直後の引き継ぎに伴う生産性の一時的な低下と、配置を誤った場合の社員の離職リスクです。
新しい担当者が業務を習得するまでの期間は、引き継ぎ作業の負担も重なり、現場の生産性や顧客サービスの質が一時的に下がります。引き継ぎ手当や転居に伴う諸費用といった財務的コストが生じる点も見落とせません。
また、異動に強い不満を抱いた社員が「納得がいかないから辞める」という早期離職を選ぶケースもあります。せっかく育てた人材を失うリスクがある点は、会社にとって最も深刻なデメリットです。
社員側の主なデメリットは、一から新しい仕事・人間関係に対応するための心身の負担と、転居を伴う転勤による私生活・家庭への影響です。
慣れ親しんだ環境から離れ、新しいルールに順応する過程では、うつ傾向や適応障害の原因となる高いストレスが生じやすくなります。転居を伴う転勤の場合は、配偶者のキャリア・子どもの転校・親の介護など、家族を巻き込む生活基盤への影響が生じます。
これまで培ったスキルが発揮できなくなる点への不安も、社員にとって無視できないデメリットです。
人事異動を経営トラブルなく、かつ社員との確執を避けて成功させるには、法的な手続きを含め以下の4つのステップで進めることが有益です。
手続きの途中で一方的な通告をおこなうと、労使間の紛争や訴訟を招く原因になります。適切なスケジュール管理のもとで手順を踏んで、スムーズな業務引き継ぎ期間を確保しましょう。
まず、経営計画や来期の売上目標、欠員状況を調査し、「どの部署にどのような人材が何名必要か」を精査します。
感情や主観を排除し、事業遂行に必要なスキル・経験・年齢バランスなどの客観的な人材要件をリスト化しましょう。
最初のステップが曖昧だと、単なる数合わせの不適切な人事異動となり、失敗の原因になります。
要件が確定したら、全従業員の中から候補者を抽出しましょう。以下の情報を総合的に勘案して最終候補を絞り込みます。
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社員のスキルや経験・評価履歴などを一元管理するシステムや台帳を活用すると、条件に合う候補者を効率よく抽出できて便利です。また候補者本人の育児・介護など個別の家庭事情に配慮した選定をおこなう必要があります。
現場の各部門長から事前にヒアリングをおこない、実際の評価と数字評価に齟齬がないか確認したうえで最終決定することが重要です。
辞令交付の1〜2ヵ月前に、本人に非公式に異動を伝える内示の面談を設けます。
内示は正式決定前の事前打診であり、「なぜあなたが必要なのか」という理由と期待を個別に直接伝える段階です。本人の拒絶反応や致命的な家庭の事情(介護が始まったばかりなど)を丁寧に把握し、調整を試みる前段階としての役割も持ちます。
内示情報が正式発表前に社内に漏えいしないよう、情報管理と守秘義務を徹底しておこなうべきです。
社内で正式に辞令を交付・公示します。内示期間を経て、社内規律にのっとり異動命令が確定する段階です。辞令は紙または社内の電子システムを通じて全社に発令することもあります。
辞令を受け取った社員は、速やかに業務引き継ぎ書の作成を開始し、残務処理と新部署への挨拶スケジュールを調整します。
人事異動を理由とした優秀な社員の退職を防ぐには、対話・動機付け・異動後フォローの3つを徹底する必要があります。以下で実践すべきアプローチを具体的に解説します。
誰にとっても不公平ではないと感じられる客観的な人事異動のルールを就業規則に明記・周知しておくと、不信感を未然に防げます。
人事異動に対する不公平感を排除するために、勤続年数や業務内容に応じた共通のローテーションルールを周知しましょう。明確なルールが存在すれば、「個人的な嫌がらせで異動を命じているのではない」という客観的な公平性が担保されます。
また、人事異動に関する明確なルールは入社前や入社直後に伝えておくのが重要です。人事異動の可能性がある点を社員に理解・納得してもらえていれば、より納得度の高い人事異動を実施できます。
内示や面談においては、異動への組織的な意図と本人への期待を言葉にして明確に伝えましょう。
理由が曖昧な異動命令をくだされた場合、「自分はお払い箱になったのではないか」というネガティブな不安を抱くのが一般的な心理です。
「今回の異動は、あなたのスキルを評価しての抜擢である」という前向きなメッセージを伝えると、不安を意欲へ切り替えさせられます。
面談の中で相手の懸念事項を丁寧に聞き出し、可能な限りサポートを約束する姿勢が信頼関係の構築に直結します。
新しい部署での経験が、中長期的に本人の昇格・昇給や目指すキャリアにどうつながるのかを示します。人事評価制度やキャリア上のメリットを具体的に提示しましょう。
先々の見通しが立たないと、これまで培ったスキルが無駄になるという恐怖から、転職を考える心理が働きやすくなります。
キャリアデザインシートなどを活用し、個人のビジョンと連動した異動を提案するのが、公平性の担保につながります。
異動先で担うべき役割や具体的な業務範囲を事前に明確にすると、過度な不安や着任後のギャップによる即時離職を防げます。
「とにかく〇〇部署に行ってほしい」という曖昧な指示は、仕事内容もわからず不安を抱きやすいだけでなく、不信感にもつながります。
新しい職場でどのような責任を持ち、どのような数値目標を追うのかを、職務記述書などを交えて明文化して渡すことが有効です。
最初からやるべき内容が明確であれば、業務習得も迷いなくスタートでき、適応コストを大幅に抑えられます。
異動は発令して終わりではありません。異動後に新しい職場で社員が健全に適応できているかを、人事部や受け入れ先の上司が1〜3ヵ月かけてサポートしてください。
異動後すぐに期待どおりのパフォーマンスが出なくても当然という前提に立ち、メンタル面や業務スキルのギャップケアをおこないます。
定期的な1対1のミーティングを実施し、「聞いていた業務内容と違う」「人間関係で孤立している」といった早期の問題を発見・解決する体制を整えるのがおすすめです。
フォローアップを怠ると、異動した本人だけでなく周りの同僚もストレスを抱えて働きつづける可能性があります。結果として離職率の高い職場が生まれるので、異動後のケアは欠かせません。
人事異動を実施する際には、男女雇用機会均等法や育児介護休業法等に基づく法的制約を遵守する必要があります。法的制約を無視して異動を強行した場合、命令が法律上「無効」となるだけでなく、企業に損害賠償義務が発生するおそれがある点を理解しておきましょう。
経営者や人事担当者が把握しておくべき主要な3つの法的基準を以下で解説します。
男女雇用機会均等法第6条により、配置(人事異動)・昇進・降格・教育訓練など全ての雇用管理において性別を理由とした差別が禁止されています。
第六条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
「男性は外回り営業、女性はアシスタント」といった、合理的な根拠のない固定的な性別役割分担に基づき、性別を理由に配置を異ならせることは、男女雇用機会均等法6条により原則として禁止されています。
仕事の能力や適性に差がないにもかかわらず、特定の性別の社員のみを昇進ルートから排除したり、不利益な配置転換をおこなったりする行為も禁じられます。
違反する配置は不法行為と評価され、社員から損害賠償請求(慰謝料請求)を受ける重大なリスクがあります。
元の会社との労働契約関係を維持したまま、別会社の指揮命令を受けて勤務する『在籍出向』を命じる際、労働契約法第14条に基づき、必要性や人選の妥当性を欠く場合は出向命令の濫用として無効です。
第十四条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
引用元:労働契約法 第十四条
出向は通常の配置転換より社員の労働環境に重大な変化を与えるため、より慎重な権利行使が求められます。就業規則に根拠条項があっても、嫌がらせや退職勧奨を目的とした出向命令は認められません。
裁判になった際、適法と判断されるには以下の3つの観点が重要です。
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育児介護休業法第26条に基づき、企業は転居を伴う転勤を命じる際、対象社員の育児や介護の状況に十分な配慮を払う法的義務があります。
第二十六条 事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。
「配慮」とは形式的なヒアリングにとどまりません。転勤による育児・介護の継続困難度を考慮し、配置時期の猶予や代替地の検討等の実質的な調整を意味します。
配慮義務を著しく怠って一方的な転勤を強行した場合、育児介護休業法違反や権利の濫用として無効と判断される可能性があります。
社員から人事異動を拒絶された際に、無条件でペナルティを与えることはトラブルを拡大させます。まずは動機を丁寧に聞き、不服内容が法的合理性をもつかを冷静に査定すべきです。
拒否が例外的に認められる可能性のあるケースと、円満に解決させるための企業の基本姿勢を以下で解説します。
日本の雇用契約において、雇用契約書や就業規則に異動の合意がある場合、企業には配転命令権が認められています。
就業規則に配転規定があり、その就業規則が労働契約の内容となっている場合で、職種・勤務地を限定する合意もなく、具体的な配転命令も権利濫用に当たらないときは、原則として労働者は配転命令に従う必要があります。
「なんとなく新しい部署に行きたくない」「あの人と働きたくない」といった主観的な好悪を理由とする拒否は通用しないのが原則です。
この原則的なルールを周知すると、無根拠な拒絶に対して毅然と対処できるようになります。就業規則への配転規定の明記と、入社時の十分な説明が重要です。
配転命令権があるとはいえ、以下のいずれかに該当する場合は権利の濫用として違法・無効になります。
| 無効になるケース | 内容 |
|---|---|
| 業務上の必要性が完全にない | 業務遂行上の必要性がない、または業務内容・勤務場所が合理的な範囲を超えると判断される場合 |
| 不当な動機・目的がある | 社内告発への報復や、不都合な社員を自主退職させる目的でおこなわれる場合 |
| 差別的な扱いにあたる | 思想・信仰・性別・家庭環境などを理由とした差別的な異動命令と判断される場合 |
| 労働条件が著しく悪化する | 異動によって労働条件が著しく悪化すると判断される場合 |
| 私生活に大きな不利益が生じる | 家族の介護など、私生活に致命的な打撃を与えると判断される場合 |
異動命令が上記に当たるかどうかは、具体的な事情をふまえた慎重な判断が必要です。自社の判断だけで「適法である」と結論づけるのは危険で、あとから無効と判断されるリスクがあります。
少しでも該当する可能性がある場合は、命令を下す前に企業法務に詳しい弁護士に確認するのがおすすめです。
業務上の必要性があり、かつ権利濫用に当たらない適法な異動命令に対して正当な理由なく拒否し続ける社員には、就業規則に基づく懲戒処分を検討します。
正当な業務命令違反への措置として、「警告」→「減給」→「出勤停止」→「懲戒解雇」と段階を踏んだ処分をすることで労働者に改善の機会をしっかりと与えていくことが重要です。即座に解雇などの重すぎる処分を下すのは相当性を欠き、無効と判断されるリスクが高いため注意が必要です。
処分を下す前に十分な対話の記録を残し、会社側として誠実に対応した事実を実証できるようにしておくことが、企業防衛につながります。
人事異動における労使紛争や法的リスクの確認には、企業法務に強い弁護士を効率よく探せる「企業法務弁護士ナビ」を活用しましょう。
企業法務弁護士ナビは、人事労務問題をはじめ、契約書作成・労働審判対応・就業規則の整備など、企業が直面する法的課題に幅広く対応できる弁護士を掲載したポータルサイトです。
地域や相談内容で絞り込んで検索でき、初回相談無料に対応している法律事務所も多数掲載されています。電話だけでなくWeb・LINEでの相談に対応している事務所も多く、忙しい人事担当者や経営者でも気軽に問い合わせやすいのが特徴です。
社内の配転命令が違法・無効となる基準を自社だけで判断するのは難しいため、予防法務の段階から弁護士に助言を求めることをおすすめします。企業法務弁護士ナビを使って、まずは気軽に相談してみてください。
人事異動の実施・受け入れ・命令された立場など、さまざまな視点からよく寄せられる質問に回答します。法的な問題が生じる可能性が高いケースでは、社内の産業医や外部の弁護士に速やかに相談するのがおすすめです。
会社には人事異動の具体的な理由を事細かに説明する法的義務は原則としてありません。ただし、不要なトラブルを避けるために、実務上は説明するのが賢明です。
まったく何の説明もしない「理不尽な強制」は、著しい離職や権利の濫用を争う訴訟を招きやすくなります。
特に育児・介護などの不利益が生じるケースでは事情を十分に考慮し、配慮した結果を丁寧に伝えることが企業防衛のために不可欠です。
人事異動の決定権は、代表取締役またはその権限の委任を受けた人事部などが有します。
法的には、配転命令権などの人事権は雇用契約を交わしている会社に帰属しているため、最終責任者は代表取締役です。実務上は、人事部が全社の評価データや欠員状況を管理し、各部門長と調整を重ねて候補者を選定し、決裁が下ります。
直属の上司が一方的に決めるのではなく、全社的な経営判断を反映した合意プロセスを経て正式に発令されるものです。
まずは対話を試み、異動命令の業務上の必要性や合理性を論理的に説明したうえで、可能な範囲での調整を模索します。
不服申立ての理由が、受忍限度を超えるもの(重病の家族の介護など、法的無効事由に該当する可能性があるか)であるかを慎重にヒアリング・調査しましょう。
会社側に手続き上の落ち度がないかを確認しながら、着任時期の猶予や在宅勤務の活用といった条件変更を提示し、妥協点を探ります。
話し合いで行き詰まると、合同労働組合(ユニオン)や労働局によるあっせん・訴訟へと発展する可能性があります。会社と社員だけで解決したいと感じたら、速やかに企業法務に強い弁護士を介入させましょう。
人事異動は、人材育成・適材適所・マンネリ防止・企業戦略への対応・不正防止という5つの目的のもとに実施される、経営上の重要なマネジメント手法です。会社にとっては組織の活性化とリスクヘッジ、社員にとってはスキルアップとキャリア形成の機会となります。
一方で、プロセスを誤ると生産性の一時的な低下や社員のストレス、さらには法的な紛争に発展するリスクもはらんでいます。退職を防ぐためには、明確なルールの周知・理由の説明・キャリアパスの提示・異動後のフォローアップを徹底することが欠かせません。
命令が権利の濫用と判断されれば、異動そのものが無効になるだけでなく、損害賠償義務が生じるおそれもあります。トラブルが自社内だけでは解決困難な場合は、早めに企業法務の弁護士へ相談してください。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
※企業法務弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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