M&Aとは|M&Aの手法・形態や一連の流れなどを解説

専門家監修記事
会社の合併・買収を指すM&A。「他社を買収して事業規模を拡大したい」と計画している会社経営者にとって、M&Aに関する知識は必須。 また最近では、後継者不足に悩む企業が積極的にM&Aを活用する事例もあるようです。この記事では、M&Aの手法や流れなどを解説します。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
M&A・事業承継

会社の合併・買収を指すM&A。「他社を買収して、事業規模を拡大したい」と計画している会社経営者などにとって、M&Aに関する知識は必須といえるでしょう。

 

また最近では、後継者不足に悩む企業が、積極的にM&Aを活用する事例などもあるようです。

 

この記事では、M&Aの手法や流れなどを解説します。

 

 

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M&Aとは

この項目では、M&Aとはなにかについて解説します。

M&Aの意味

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、合併買収などを意味する言葉で、業務提携のように資本移動を伴わないものも含まれます。

M&Aを行う目的

M&Aを行う目的として、買収側・売却側それぞれに恩恵があるという点が挙げられます。 例として、A社がB社を買収したとします。

 

すると、買収側であるA社は、設備などの有形資産に加えて、技術や人材などの無形資産も獲得でき、事業拡大も望めます。

 

一方、売却側であるB社は、廃業手続きの際に発生する廃業コストを回避でき、創業者には売却利益が発生します。

M&A市場が活発化している背景

2018年現在、M&A市場は活発化しています。

 

以下のグラフを見てわかるように、2011年以降、M&A件数は右肩上がりの状態です。

M&A1
引用元:グラフで見るM&A動向|MARR Online

背景としては、特に中小企業の間で、後継者不足による廃業回避のための解決策として、事業承継としてのM&Aが積極的に行われているという点が挙げられます。

 

事業承継の方法や制度など、基礎知識については以下の記事をご覧ください。

関連記事:事業承継とは|基礎知識と承継先として考えるべきこと

日本国内では中小企業の事業承継の手段としてM&Aが注目されている。政府は受け継いだ非上場株式にかかる税の軽減などの事業承継税制の特例措置を4月から始めた。さらに7月、産業競争力強化法の一部改正を施行し、自社株を使ったM&Aについて売り手が得る売却益の課税を繰り延べる税制措置をとった。 7月23日付日本経済新聞の記事によると「2018年はこうしたM&Aが昨年を上回るペースで拡大」するという。
引用元:「IT企業、買います」「はい、売ります」|日経ビジネスOnline

また、経済産業省調べによると、中小企業経営者の高齢化も進んでいるようで、2015年時点で経営者年齢のピークは66歳とのこと。

 

さらに、60歳以上の経営者のうち、約半数が廃業を予定しており、廃業理由として「後継者不足」を挙げている人が約30%を占めています。

 

経営者の高齢化は、今後も進んでいくものとみられ、それに伴うM&Aも増加するものと予想されます。

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引用元:中小企業の事業承継に関する集中実施期間について|経済産業省

M&Aの手法・形態

M&Aは、大きく資本移動を伴うもの(広義のM&A)資本移動を伴わないものに分類され、資本移動を伴うものについては、さらに『企業買収(狭義のM&A)『株式の持ち合い』『合弁企業の設立』に細分化されます。

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引用元:M&Aの形態|NAC国際会計グループ

この項目では、M&Aの手法や形態について解説します。

広義のM&A(資本移動を伴う提携の場合)

まずは、広義のM&Aについて解説します。

企業買収

企業買収とは、買収や合併などによって経営権を獲得することを指します。

 

これを行うことによって、事業規模の拡大や後継者不足問題の解決などが望めます。

株式の持ち合い

株式の持ち合いとは、複数の株式会社が、それぞれの発行済株式を持ち合うことを指します。

 

これを行うことによって、安定株主の確保や、予期せぬ経営権の侵害抑止などが望めます。

合弁会社の設立

合弁会社とは、複数の株式会社が、それぞれ資金を出し合って会社を設立し、事業に取り組むことを指します。

 

これを行うことによって、1社にかかる投資コストやリスクを低減したり、互いの持つ技術やノウハウを活用したりすることなどが望めます。

狭義のM&A(資本移動を伴う提携の場合)

次に、狭義のM&Aについて解説します。

買収

買収の方法としては『株式取得』や『事業譲渡』などがあります。

 

株式については、過半数以上を保有することで経営権が取得でき、事業については、譲渡側と譲受側の合意で事業の全部または一部が売買されます。

合併

合併とは、複数の会社が1つになることを指します。

 

このうち、1社を残して他社が消滅し、その1社に他社の権利義務が引き継がれる形を吸収合併、すべての会社が消滅した上で、新設会社に権利義務が引き継がれる形を新設合併と呼びます。

分割

分割とは、会社事業の権利義務について、他社に包括的に承継することを指します。

 

このうち、事業を既存の会社に引き継がせる形を吸収分割、新設会社に引き継がせる形を新設分割と呼びます。

資本移動を伴わない提携の場合

資本移動を伴わない、業務提携としてのM&Aについては、『共同開発・技術提携』『OEM提携』『販売提携』などがあります。

共同開発・技術提携

共同開発・技術提携とは、会社それぞれが持つ技術や人材を活用させるなどして、複数の会社が共同で開発業務を行うことを指します。

 

これにより、開発業務の効率化や、リスクの分散などが望めます。

OEM提携

OEM(Original Equipment Manufacturing)提携とは、1社の製品の生産業務について、他社へ委託して行うことを指します。

 

これにより、生産能力の補充や、生産ノウハウの獲得などが望めます。

販売提携

販売提携とは、会社それぞれが持つ販売ノウハウを提供しあうなどして、複数の会社が共同して販売業務を行うことを指します。

 

これにより、販売ルートの新規開拓や販売力の強化などが望めます。

M&Aの流れ

この項目では、M&Aを行う際の流れについて解説します。

相談依頼

まずは、相談先を決定します。

 

相談先としては、弁護士・税理士・会計士・金融機関・M&A専門業者などが挙げられます。

 

「そもそもM&Aを行うべきなのか」「買収する場合は、どのような会社がよいか」など、理想とするM&Aの成立に向けて、下準備を行います。

買収先・売却先の選定

次に、「どの会社を買収するか」「どの会社に売却するか」など、相手会社を選定します。

 

相談先によっては、相手会社に関する詳しい提案資料を提示してくれるところもあるようです。ちなみに、その際は、『第三者への情報漏えいの禁止』などを定めた、秘密保持契約を結ぶのが一般的です。

相手企業とのトップ面談

選定が完了したら、相手会社の経営者と面談を行います。

 

ここでは、選定段階では不明瞭だった点や、深く知りたい点について質問するなどして、「自社にとってふさわしい会社かどうか」を判断します。

意向表明書・基本合意書の作成

面談終了後、相手が納得のいく会社であった場合は、意向表明書や基本合意書などを作成します。

 

意向表明書には『買い手側の購入意思や購入条件』、基本合意書には『交渉成立のための基本事項』を記載します。

買収先会社に関する企業価値算定(DD)

次に、買収先会社に関する調査 (DD:Due Diligence)を行います。

 

大きな買収事案の場合、DDは弁護士や会計士などの専門家に依頼するのが一般的です。

 

対象会社の財務リスクや法務リスクを調査、分析、評価するのがDDの趣旨です。この時点で、もし何か大きな問題が確認された場合は、中止となることもあります。

最終契約書の作成・契約締結

調査の結果、問題がなければ、最終契約書の作成に移ります。

 

最終契約書には、取引実行のための前提条件や、その他の付随的義務に関する誓約条項、売買契約に関する事項の正確性の宣言などを記載します。

M&Aをする前に費用の確認!

M&Aでは、売り手側にも一定の費用が発生します。自社価格がどのように決定するのか、その他の費用としていくら必要なのかご紹介します。

 

Ⅿ&Aに関する費用はいくら?

M&Aに関する不安は弁護士に相談

M&Aについては、法的知識が必要となる場面もあるため、「信頼できるところに相談したい」と考える方も多いでしょう。

 

相談先としては、弁護士以外にも、税理士・会計士・金融機関・M&A専門業者などが挙げられます。

 

確かに、M&Aに関するトータルサポートを行っているM&A専門業者や、企業価値算定について深い知識を持つ会計士などに相談するのも1つの手段です。

 

しかし、弁護士はM&Aに関するトータルサポートを行っている上に、法律上のトラブルにも対応可能という点で他と一線を画します。

 

弁護士に依頼することで、秘密保持契約・基本合意書・最終契約書などの手続きの際、法的視点からチェックが受けられるだけでなく、M&A成立後の統合作業(PMI)についてもサポートを受けることができます。

 

M&Aについて弁護士に相談する際は、会社法に関する問題解決に注力している事務所や、M&Aや企業買収に関する問題の解決実績がある事務所などを選ぶとよいでしょう。

 

また、買収先が外資系企業の場合は、海外の法律にも知識のある外資系法律事務所に相談することで、手厚いサポートが受けられるでしょう。

 

相談料については、買収先会社の規模によって異なったり、無料相談を行ったりしているところなどもあるため、事務所によって大きく異なることも考えられます。

 

費用はケース・バイ・ケースです。実際に相談する際は、事前に確認を取ることをおすすめします。

まとめ

会社経営者の中には、事業拡大のためにM&Aを考えている方や、事業承継のためにM&Aを考えている方もいるでしょう。

 

特に、M&Aのような契約交渉については、会社法や契約法などの法的知識が必要となる場面もあります。

 

法的手続きにおいて、1つでも不備があると、のちのち大きなトラブルの元となることも考えられます。

 

「M&Aを考えているが手続きがこなせるか不安で、法的トラブルなども避けたい」という方は、弁護士に相談することをおすすめします。  

M&Aをする前に費用の確認!

M&Aでは、売り手側にも一定の費用が発生します。自社価格がどのように決定するのか、その他の費用としていくら必要なのかご紹介します。

 

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