事業承継を弁護士に依頼する4つのメリットと期待できる役割|選び方や依頼時の費用も解説

専門家監修記事
事業承継は、オーナー経営者の変更に伴い、事業の経営権を移行する行為を意味します。事業承継にあたっては専門家のサポートが必要不可欠です。 ここでは、事業承継を、弁護士に依頼する場合のメリットと承継方法、さらに費用についてご紹介します。
阪神総合法律事務所
曾波 重之
監修記事
M&A・事業承継

事業承継は、今後の会社を左右する大きな決断です。そのため、さまざまな不安や課題が出てくるかと思います。中小企業における事業承継に関するアンケートでは、以下のような不安を抱えていることが分かりました。

(引用:事業承継支援マニュアル 32P)

引継ぎ後に問題なく会社を運営してもらうには、会社の経営方針や今まで築き上げてきたさまざまな資産をスムーズに引き継ぐことがポイントになります。そのためには、専門知識を持つ弁護士のサポートが必要不可欠です。

 

事業承継を成功させることは、あなたの会社を守るだけではなく、後継者たちを守ることにつながります。この記事では、弁護士に依頼する場合のメリットや具体的な役割、費用、状況別の進め方などをご紹介します。

この記事に記載の情報は2021年04月15日時点のものです

事業承継を弁護士に依頼するメリット

事業承継を弁護士に依頼するメリットは多々あります。ここでは、主な4つのメリットについてご紹介します。

1:事業承継の方法や計画を明確にできる

事業承継には、「親族への承継」「従業員への承継」「M&A」と主に3つの方法があります。どの方法が最適なのか迷っている人は、弁護士に相談することで最善の方法が明確になるでしょう。

 

事業承継に重要な計画も、弁護士に相談し立てることで、現実的で最短なものを作成できます。「事業承継を引き継いだ際の問題」に関するアンケートでは、多くの人が引継ぎまでの準備期間が不足していると回答しました(参考:中小企業白書)

 

後継者のためにも、しっかりと計画を立て準備期間を十分にとった上で実行する重要性が分かるかと思います。期間・費用・全体の流れを明確にできるのは弁護士に相談する大きなメリットです。

2:事業承継にかかる時間を短縮できる

事業承継するには、一般的に5~10年の期間が必要とされています。このように長期間になる要因として、後継者の養育が必要になるからです。現経営者に対するアンケートでは、約7割近くが後継者の育成に今から3年以上~10年未満は必要と回答しています。

(参考:事業承継支援マニュアル 22P)

また、後継者の育成以外にも、書類の作成・各機関への手続き・社内外への説明などが必要です。弁護士に依頼することで、後継者の育成はできませんが、書類作成や諸々の手続き、社内外へどのように説明するかなどを代理・サポートしてくれます。

 

その結果、後継者育成に専念できるため最短の期間でスムーズに事業承継することが可能です。また、都度起こるトラブルにも対応してもらえるため、対応に時間を割くこともありません。

3:相続争いを避けるための対策を講じることできる

事業承継では「会社」という財産を相続するため、親族間や役員間で相続争いが起きる可能性があるでしょう。あらかじめ弁護士に依頼しておけば、そのような相続問題が起こらないよう、予防策を講じてくれます。

 

また、万が一起こってしまった場合でも、解決するための対応を行ってくれるので、ご安心ください。

4:引き継ぐ前に自社問題を発見できる

事業を引き継いだ後に、今まで見えなかった問題点が発見され、新経営者が大変苦労することもあります。自分の代で整備・解決できる部分は解決してしまうに越したことはありません。

 

弁護士への相談では、自社にどのよう問題があるのかを第三者の視点から評価してもらえます。早期に問題が抽出されれば、事業承継の準備とともに、解決に向けて取り組むことも可能です。

事業承継における弁護士の具体的な役割

事業承継において弁護士の具体的な役割は以下の通りです。

基本的な弁護士の役割

  • 事業承継に関する法律相談
  • 事業承継の計画・進行
  • 社内のリスク管理
  • 各種契約書の確認
  • 役員・従業員への対応
  • 事業承継に関する書類の作成
  • 各種手続きの代行・申請
  • 相続・節税に関する対応
  • M&Aに関する相談 など

事務所によっては対応できない部分もあるかと思います。相談する際に、どのようなことに対応してくれるかをあらかじめ確認しましょう。

取引先に対する弁護士の役割

  • 取引先や支店などへの説明文の作成・送付
  • 契約書や契約の再確認

引継ぎ後に取引先や支店などと上手に付き合っていけるよう、説明などが必要になるでしょう。どのような説明をすべきかを相談できます。また、引き続き後に契約書の不備などのトラブルを解決するために、弁護士に再確認してもらうことも可能です。

金融機関や各種機関に対する役割

  • 個人保証契約などの解消・変更
  • 各種名義の変更

現経営者名で申請している契約書はすべて変更する必要が出てくるでしょう。これらの手続きも弁護士に依頼することでスムーズに行うことが可能です。

事業承継を弁護士に依頼した場合の費用相場

事業承継を弁護士に依頼した場合の費用相場もあらかじめ確認しておきましょう。事業承継に関する費用は、会社の規模やどのような方法で事業承継したのかによって変動します。

相談料

相談料は、無料の事務所もありますが、基本的に30分5,000円~1万円になります。

着手金

着手金は30万円~が相場になりますが、会社の規模や顧問になっているかどうかなどにより大きく変わります。あらかじめ事務所に確認するようにしましょう。

報酬金|方法によって変動する

親族・従業員に事業承継する場合

親族・従業員に事業承継する場合、事業承継によって得た利益により報酬が決まる場合と、会社の総資産により報酬金が決まる場合と2通りあります。具体的な金額は事務所に異なりますので、依頼前に必ずご相談ください。

 

M&Aで事業承継する場合

M&Aで事業承継する場合、報酬金の相場は以下の通りです。

株式譲渡(売却)価格

費用

5億円以下

〜2,500万円

5億円超~10億円以下

2,500万円超〜4,000万円

10億円超~50億円以下

4,000万円超〜1億5,000万円

50億円超~100億円以下

1億5,000万円超〜2億円

100億円越

2億円超

【種類別】弁護士相談から事業承継完了までの流れ

では、「親族・従業員に事業承継する場合」と「M&Aで事業承継する」の2つの流れについてご紹介します。

親族・従業員へ事業承継する場合

親族や従業員へ事業承継する場合、一般的に以下のような流れで進みます。

できるだけ早い段階で弁護士に相談できれば、より多くの選択肢から最善の計画を立てることが可能です。また、事業承継を進めて行くうちに、会社の業績や税制などに変化が起きた場合は、都度修正していくことになります。

M&Aで事業承継する場合

M&Aを利用して事業承継する場合、一般的に以下のような流れになります。

M&Aは後継者を育成することがないため、親族や従業員に承継するより短期間で成立することがほとんどです。また、後継者の育成がない代わりに双方の合意の上、事業承継後の一定期間、現経営者が顧問などとして会社に残ることも検討する必要があります。

事業承継を依頼する弁護士の選び方

事業承継を弁護士に依頼する場合、どのような弁護士を選べばよいのかについてご紹介します。

対応が早い事務所

依頼する弁護士の対応の速さも重要です。メールを送っても1週間以上返信がないなど、対応が遅い事務所はその後の対応も遅いと考えられるため、おすすめできません。

 

事務所の規模や、弁護士・事務員の人数ではなく、電話・メール対応の速さで事務所を決めることをおすすめします。

事業承継・M&Aの実績がある事務所

企業法務にはさまざまな実務があり、「企業法務が得意」と言っている事務所でも「事業承継やM&Aはしたことがない」こともあり得ます。そのため、企業法務の中でも「事業承継やM&Aの実務経験がある」事務所を選ぶことが重要です。

 

各事務所のHPなどで、事業承継やM&Aに対応できるか確認しましょう。企業法務弁護士ナビでは、事務所ごとに確認しなくても、簡単に事業承継やM&Aに得意な弁護士を探すことができます。

 

自社業界の企業法務の実績がある事務所

業界ごとに適用される法律が変わってくるため、弁護士を選ぶ際は、あなたの会社が取り扱う業界に実績のある弁護士へ依頼することが望ましいでしょう。どのような業界に精通しているかは、各事務所HPやサイト内の解決事例で確認できます。

 

企業法務弁護士ナビでは、特定の業種に実績のある弁護士を簡単にさがすことができます。

 

相性が合う・話を聞いてくれる事務所

事業承継は終わるまでに数年といった長い時間がかかるため、弁護士との相性も事務所を選ぶ大きなポイントになります。話を聞いてくれる、親身になってくれる弁護士はもちろんですが、感覚的な部分で相性が合うか合わないかも判断してみてください。

 

実績があっても相性の合わない弁護士とのやり取りは、ストレスや不満につながりますし、トラブルになる可能性もあります。そのようなことがないよう、依頼前にしっかり話しをしてみましょう。

まとめ

事業承継には、長い準備期間がかかる上に、、会社の現状の整理や、後継者の育成、相続の問題など課題は非常に多々あります。不安を抱えながら事業承継することは望ましくありません。

 

少しでも事業承継を検討した場合、「いつから始めたらよいか」から弁護士にご相談ください。

 

ページトップ