裁量労働制だった場合の残業代はどう計算する?

専門家執筆記事
専門職の方は『裁量労働制』で働いているという方もいるのではないでしょうか。 転職したら契約書に『裁量労働制』と書いてあった、という経験のある方もいると思います。 この記事では、裁量労働制とはどのような制度なのか、解説します。
Ad Libitum(フリーランス人事)
松永 大輝
執筆記事
人事・労務

エンジニアなど専門職の方は、『裁量労働制』で働いているという方もいるのではないでしょうか。 また、「新たな会社に転職したら契約書に『裁量労働制』と書いてあった」という経験のある方もいると思います。

そこでこの記事では、「裁量労働制とはどのような制度なのか」「この働き方で果たして残業代は支給されるのか」などについて解説します。

そもそも裁量労働制とは?

まず、裁量労働制とはどのような制度なのでしょうか。

労働基準法によれば、業務の性質上、仕事の進め方などを労働者の裁量にゆだねる必要性が高く、業務指示を行うことが難しい、もしくは指示しない場合に適用することのできる制度です。

ただし、上記のようなケースに該当すればどんな職種にも適用できるわけではありません。適用できるのは次の2パターンに該当する場合に限られます。

専門業務型

高度な業務を行うシステムエンジニア、弁護士、大学教授など法律によって適用できる業種が19種類に限定されています。

企画業務型

「事業の運営に関わる」企画・立案・調査・分析の仕事に従事する従業員にのみ適用することができます。

裁量労働制の効果

裁量労働制が適用されると、具体的にどのような効果があるのでしょうか?

裁量労働制は端的に言えば「会社が事前に定めた時間働いたものとみなす」制度です。つまり、実際の労働時間が何時間であろうとも、事前に「この職種の業務は1日8時間」(これをみなし労働時間といいます)などと社内で定められていれば、実際の労働時間が1時間でも12時間でも「8時間」とみなされることになります。

上記の例のように1日のみなし労働時間が8時間と定められている場合、実際に何時間働いたとしてもこの時間働いたものとみなされるため、基本的に残業代が支給されることはありません。

※ただし、労働基準法により、1日8時間を超える労働には残業代が発生します。例えば、1日のみなし労働時間が「9時間」と定められている場合、実際の労働時間に関係なく、1時間分の残業代が発生します。

本当に裁量労働制に残業代はないのか?

では、裁量労働制で働く人には残業代(割増賃金)は一切支給されることはないのでしょうか?

実は裁量労働制であっても残業代が支給されるケースが2つあります。1つ目は深夜(22-5時)に残業した場合、2つ目は休日出勤した場合です。これらの勤務を裁量労働制の対象となる従業員にさせた場合、それぞれ労働時間に応じて深夜手当や休日手当といった割増賃金を支払う必要があります。

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裁量労働制で働く場合の注意点

ここまで裁量労働制の概要と、実は裁量労働制であっても残業代が支給される場合があるということを解説しました。 最後に裁量労働制として働く場合の注意点を2つ記載しておきます。もし自分に当てはまる場合は注意が必要です。

自分の働き方に裁量はあるか?

上述した通り、裁量労働制は業務指示を行うことが難しい、もしくは指示をしない場合に適用する制度です。よって、上司から具体的に指示を受けるような場合は裁量労働制とは言えません

また、ここで言う業務指示とは仕事の進め方だけでなく出退勤などの時間配分も含まれますので、会社の定める始業時刻までに出社することを強制されるような場合にはやはり裁量労働制とは言えません

これらに該当する場合は裁量性がないため裁量労働制の適用が「無効」となり通常の労働者と同じように残業代を支給する必要が生じます。

そもそもその業務は裁量労働制の対象になるのか?

こちらも上述した通り、裁量労働制には『専門業務型』と『企画業務型』の2種類しかなく、会社が勝手に拡大解釈して導入することはできません

例えば単なるプログラマーを専門業務型裁量労働制の対象にすることはできません(ソフトウェア開発などを行うエンジニアである必要があります)

筆者が以前人事として勤めていた企業の実例ですが、入社後に「人事担当者も企画するから企画業務型裁量労働制になる」と労務責任者に告げられたことがあります。

しかしながら実務に携わってみると企画的要素はほとんどなく、定型的なオペレーション業務が中心でした。このような場合はやはり裁量労働制とは言えず、その効果は無効となり残業代を請求する余地が生じます。

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