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従業員の無断欠勤が続いても、会社がすぐに退職扱いや解雇にできるとは限りません。実務では、就業規則の定め、欠勤期間、本人への連絡状況、病気や事故の可能性などを踏まえて慎重に対応する必要があります。特に「14日続いたら自動的に自然退職になる」と理解してしまうのは危険です。
本記事では、人事・労務担当者向けに、無断欠勤が発生したときの初動対応から、退職勧奨、就業規則に基づくいわゆる自然退職、懲戒解雇の違い、内容証明の送り方、解雇予告、退職処理後の実務までをまとめて解説します。
本記事のポイント無断欠勤が続くと、「もう来ないのだから退職扱いでよいのではないか」「2週間経ったから自然退職だろう」と考えたくなるかもしれません。しかし、法的にはそこまで単純ではありません。無断欠勤への対応には、主に次の3つのルートがあります。
どのルートが取り得るかは、正当な欠勤理由の有無、会社の連絡努力、就業規則の内容、欠勤期間、業務への影響、これまでの指導経過などによって変わります。見切り発車で退職処理や解雇を進めると、不当解雇や賃金請求、慰謝料請求に発展するおそれがあります。
無断欠勤は就業規則上の服務規律違反や懲戒事由に該当し得ますが、それだけで直ちに解雇が有効になるわけではありません。普通解雇であれば労働契約法16条、懲戒処分であれば同法15条が問題となり、懲戒解雇ではこれらの観点をあわせて慎重に検討する必要があります。
たとえば、欠勤の背景にうつ病などの精神疾患、入院を伴う病気、事故、災害、家族の急変などがある場合、会社が一切事情を確認しないまま解雇すると、判断が拙速だったと評価されやすくなります。会社側に長時間労働やハラスメントがあった場合も同様です。無断欠勤という結果だけを見て処理するのではなく、その原因や経緯を確認する姿勢が欠かせません。
就業規則に「一定期間無断欠勤し、会社の督促にも応じず、音信不通の状態が続いたときは自然退職とする」といった規定がある会社もあります。もっとも、「自然退職」は法律上の明文概念というより実務で用いられる整理であり、規定があるからといって、常に当然に有効とは限りません。
争いになった場合には、次のような点が見られます。
特に、実際には連絡が取れるのに何の確認もせず自然退職扱いにしたケースでは、裁判上、実質的には使用者側による雇用終了、すなわち解雇に近いものとして争われるリスクがあります。いわゆる自然退職は実務上の整理として用いられますが、乱用できるものではありません。
無断欠勤対応で最初に見るべきなのは、法律論よりも事実関係です。まずは本人の安全と健康状態を確認し、そのうえで就業規則や雇用契約、過去の注意指導歴を確認しましょう。実務では次の順番で整理すると判断しやすくなります。
この初期確認が不十分なまま処理を進めると、あとからやり直しが効かなくなることがあります。
なお、従業員側からの退職意思が後から問題になることもあります。期間の定めのない雇用契約では、労働者からの退職申入れは民法627条が前提となり、一般には申入れの日から2週間で終了するのが原則です。他方で、期間の定めがある雇用契約では民法628条の問題となり、やむを得ない事由があるかなど別の検討が必要です。無断欠勤のケースでは、会社が一方的に「本人も辞めたかったはずだ」と推認して処理するのではなく、あくまで会社側の対応根拠を就業規則や事実関係に基づいて整理することが重要です。
無断欠勤への対応で最も重要なのは初動です。後から退職勧奨・自然退職・解雇のいずれを選ぶとしても、最初の対応が雑だと会社側に不利に働きます。人事・労務担当者としては、少なくとも次の3点を押さえておきましょう。
無断欠勤が発生したら、最初に行うべきは懲戒の検討ではなく安否確認です。電話、メール、チャット、SMS、手紙など通常使っている連絡手段で本人に連絡し、応答がない場合は緊急連絡先にも連絡します。必要に応じて、就業規則や社内ルールに沿って自宅訪問を検討することもあります。
特に、普段は遅刻や欠勤がない社員が突然連絡を絶った場合には、事故や急病の可能性も否定できません。家族から入院や搬送の事情が判明することもあります。本人の生命・身体にかかわる事情があるかもしれない以上、「来ないなら退職でよい」と即断しないことが重要です。
自宅訪問や第三者への照会はプライバシーに配慮しつつ、必要最小限の範囲で行うべきです。事件性が疑われるような状況なら、警察への相談も視野に入ります。
無断欠勤の案件では、最終的に「会社がどこまで確認し、どのように対応したか」が重要な争点になります。そのため、電話した事実だけでなく、いつ、誰が、どの手段で、どのような文言で連絡したかを記録に残してください。
残しておきたい記録の例は次のとおりです。
これらの記録は、あとで自然退職や解雇の有効性を検討するときだけでなく、本人が復帰した際の対応を決める際にも役立ちます。
無断欠勤は、単なる勤務態度の問題だけで生じるとは限りません。近時は、メンタルヘルス不調、適応障害、うつ病、職場の人間関係、パワハラ、セクハラ、長時間労働などが背景にあるケースも少なくありません。
もし会社側の事情が欠勤の一因になっているなら、懲戒や解雇の判断はより慎重であるべきです。本人から診断書の提出があった場合や、家族から療養中との連絡があった場合には、まず休職制度の適用可能性や復職支援の可否を検討することになります。
本人が無断欠勤しているという事実だけに着目して一律に処理すると、会社側の安全配慮義務違反やハラスメント対応の不備まで問題化するおそれがあります。
実務フローとしては、一般的には次の順番で進めると整理しやすくなります。
このように、いきなり処分に進むのではなく、安否確認、事情確認、記録化、手続選択の順に段階を踏むことが重要です。
無断欠勤をめぐる実務では、「14日」「2週間」という数字がよく出てきます。ただし、この数字だけを切り取って「2週間経ったら自動的に退職」「14日で即解雇できる」と理解するのは誤りです。
実務上の「2週間」の目安は、解雇予告除外認定に関する行政解釈の文脈で参照されることがあります。一般に、使用者が労働者を解雇する場合は30日前の解雇予告、または30日分以上の平均賃金の支払いが必要です。もっとも、労働者の責めに帰すべき事由に基づく場合など、所轄労働基準監督署長の認定を受ければ、解雇予告や解雇予告手当が不要となる場合があります。
この「労働者の責めに帰すべき事由」の例として、正当な理由なく2週間以上無断欠勤し、出勤督促にも応じないようなケースが挙げられることがあります。つまり、2週間という数字は、主に解雇予告除外認定の目安として語られるものであり、自然退職の成立要件そのものではありません。
14日以上無断欠勤が続いたとしても、それだけで当然に雇用契約が終了するわけではありません。自然退職として処理するには、通常、就業規則に明確な定めがあり、その規定が周知され、かつ会社が相当な連絡努力を尽くしていることが前提になります。
また、自然退職規定に「14日以上」「30日以上」「1か月以上」などの期間が書かれていたとしても、その運用が一律である必要はありません。個別事情を無視して形式的に処理すると、無効判断や紛争につながるおそれがあります。
次のようなケースでは、14日や2週間を超えていても、すぐに自然退職や解雇へ進むのは危険です。
このような場合には、休職制度の利用、面談設定、産業医や主治医との連携など、別の対応を優先すべきことがあります。
無断欠勤が続く社員への対応として、会社が検討しやすい方法は「退職勧奨」「自然退職」「解雇」(懲戒解雇又は普通解雇)の3つです。ただし、どれが最適かは事案によって異なります。
退職勧奨とは、会社が従業員に対して任意で退職するよう働きかける方法です。本人が合意すれば、合意退職として比較的円満に雇用を終了しやすくなります。無断欠勤のケースでは、本人と連絡が取れていて、復帰意思が乏しい、あるいは信頼関係の回復が難しい場合に選択肢になりやすい方法です。
メリットは、解雇に比べて法的紛争になりにくいことです。一方で、本人の自由な意思に基づくことが前提のため、強く迫りすぎると退職強要になります。たとえば、長時間拘束して繰り返し退職届の提出を迫る、拒否しているのに何度も執拗に呼び出す、威圧的な言動をする、といった対応は避ける必要があります。
いわゆる自然退職は、就業規則に定められた一定の事由が発生したときに、雇用契約が終了したものとして整理する方法です。無断欠勤との関係では、「正当な理由なく一定期間欠勤し、出勤督促にも応じず、音信不通の場合」に自然退職とする規定が設けられていることがあります。
実務上は、次の要件を満たしているかが重要です。
いわゆる自然退職は、本人と連絡がつかず、退職勧奨が機能しないケースでは検討対象になります。ただし、要件や運用が曖昧だと、あとから「実質的には解雇だ」と争われるリスクがあります。
懲戒解雇は、就業規則に定めた懲戒事由に基づいて行う最も重い懲戒処分です。長期間の無断欠勤、再三の督促無視、虚偽説明、過去の懲戒歴などが重なれば、検討対象になることはあります。
ただし、懲戒解雇は常に最後の手段と考えるべきです。懲戒事由への該当性だけでなく、処分の重さが相当か、より軽い処分では足りないのか、弁明の機会を与えたかなど、多くの要素が見られます。無断欠勤だけをもって安易に懲戒解雇すると、無効と判断される可能性があります。
そのため、同じ解雇の中でも、懲戒処分としてではなく、無断欠勤による債務不履行を理由に普通解雇を選択することも考えられます。
退職勧奨・自然退職・解雇のどれを選ぶべきか迷う場合、就業規則や証拠のそろい方次第で適切なルートは大きく変わります。社内で判断が割れる段階なら、企業労務に詳しい弁護士へ早めに相談しておくと安全です。
同じ無断欠勤でも、本人との連絡状況や欠勤理由によって選ぶべき対応は変わります。あくまで一般的な判断の目安を整理すると、次のとおりです。
| 方法 | 向いている場面 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 退職勧奨 | 本人と連絡が取れ、退職交渉が可能 | 合意できれば紛争化しにくい | 強引だと退職強要になる |
| 自然退職 | 音信不通が続き、就業規則に明文がある | 実務処理を進めやすい | 規定や運用が不十分だと争われやすい |
| 解雇 | 悪質性が高く、証拠が十分ある | 規律維持の観点で明確 | 有効性のハードルが高く、紛争化しやすい |
次の項目を確認すると、選択肢を絞り込みやすくなります。
本人と連絡が取れるなら、まずは事情確認と復職意思の有無を確認し、必要に応じて退職勧奨を検討するのが一般的です。反対に、長期間音信不通で就業規則の定めも整っているなら、自然退職の検討余地があります。解雇(懲戒解雇又は普通解雇)は、どちらの方法でも対応できず、かつ証拠と手続が十分に整っている場合に限って慎重に選ぶべきです。
迷いやすいのは、「本人と一度は連絡が取れたが、その後また連絡が途絶えた」という中間事例です。この場合、退職勧奨へ直ちに移るのではなく、復職意思の確認、出社可能日の確認、診断書提出の要否などを再度整理し、それでも協議や出勤に応じないときに次の段階へ進むのが安全です。単発の連絡不通と、継続的かつ悪質な無断欠勤は分けて考える必要があります。
本人と連絡が取れない、あるいは電話やメールでは反応がない場合、内容証明郵便で通知する方法は有力です。内容証明を送ること自体が法的義務というわけではありませんが、会社がどのような通知をしたかを証拠化しやすくなります。
無断欠勤のケースで内容証明を送る主な目的は、次の4つです。
特に自然退職や解雇を視野に入れるなら、「会社として何もせず放置していた」と見られないよう、通知の履歴を残しておくことが重要です。
通知書には、少なくとも次の内容を盛り込むとよいでしょう。
文面は威圧的にせず、事実を簡潔に整理して通知するのが基本です。たとえば「直ちに退職扱いとする」と断定するのではなく、「就業規則に基づく懲戒処分、退職処理及び解雇を検討する場合があります」といった表現のほうが実務上は安全です。
家族や身元保証人、緊急連絡先へ連絡すること自体は、安否確認や連絡確保のために必要な場合があります。ただし、本人のプライバシーに配慮し、共有する情報は必要最小限にとどめるべきです。
たとえば、「無断欠勤している」「懲戒解雇を検討している」と細かく伝えるのではなく、「出勤が確認できず連絡をお願いしたい」「本人の状況確認のため折り返しをお願いしたい」といった伝え方が適切です。社内ルールや個人情報保護の観点とも整合するよう運用しましょう。
無断欠勤を理由に解雇する場合、結論だけでなく手続が極めて重要です。特に懲戒解雇を予定するなら就業規則に根拠条項があることが重要ですが、それだけで足りるわけではありません。
通常、労働者を解雇する場合には、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。無断欠勤のケースでも、この原則は同じです。
よくある誤解として、「無断欠勤だから即日解雇してよい」というものがあります。しかし、解雇の理由があることと、解雇予告が不要であることは別問題です。たとえ無断欠勤が悪質であっても、「解雇予告除外認定」を受けていなければ、原則として解雇予告または解雇予告手当が必要になります。
労働者の責めに帰すべき事由による解雇など一定の場合には、所轄労働基準監督署長の認定を受けることで、解雇予告や解雇予告手当が不要になることがあります。無断欠勤では、正当な理由なく長期間欠勤し、督促にも応じないケースがこの論点に関係します。
ただし、除外認定は自動的に認められるものではありません。会社としては、無断欠勤期間、督促の履歴、就業規則の内容、本人から説明がないことなどを資料として整理する必要があります。認定の見込みが不透明なまま即時解雇すると、解雇予告手当の未払い問題が別途生じるため注意が必要です。
また、除外認定が問題になるのは、あくまで「解雇予告が不要になるか」という論点です。除外認定が取れる可能性があることと、解雇自体が有効かどうかは別に検討しなければなりません。つまり、解雇予告手当の支払いを要しないとしても、解雇理由そのものが不十分なら解雇無効となる余地は残ります。
普通解雇や懲戒解雇を検討するなら、就業規則に定める手続に従い、本人に事情説明や弁明の機会を与える運用が望ましいといえます。本人と連絡が取れない場合でも、出席期限を区切って事情説明の機会を通知した事実を残しておくことが重要です。
また、解雇通知書には次の点を整理して記載します。
感情的な文言は避け、あくまで事実と根拠を淡々と記載するのが基本です。無断欠勤案件での通知書作成は、その後の紛争対応に直結するため、少しでも不安があるなら弁護士チェックを入れる価値があります。
無断欠勤者を退職扱いにした後も、会社の実務は続きます。ここを誤ると、退職そのものではなく退職後手続で新たなトラブルが生じます。
無断欠勤した期間については、いわゆるノーワーク・ノーペイの考え方から、賃金を支払わないのが基本です。ただし、すでに労働した分の賃金や、未払残業代があるなら別途支払う必要があります。
年次有給休暇についても注意が必要です。欠勤日を会社が一方的に有休へ振り替えることは原則できません。本人から有休取得の申請がなく、かつ連絡もないまま欠勤しているのであれば、通常は欠勤として処理します。(もっとも、事後に労働者から有休の振り替えの申出があった場合に、これを会社が認めることは差し支えありません。)
懲戒解雇や重大な背信行為がある場合でも、退職金が当然に全額不支給になるとは限りません。退職金規程に不支給・減額事由が定められているか、その内容が合理的か、行為の悪質性がどの程度かを個別に検討する必要があります。
無断欠勤だけで直ちに退職金全額不支給と判断すると争われる可能性があるため、退職金規程と事案の重さを丁寧に見極めることが重要です。
退職届が提出されていなくても、会社として雇用終了の事実が確定したなら、健康保険・厚生年金の資格喪失手続、雇用保険の離職手続(離職証明書の提出)などを進める必要があります。
離職証明書の離職理由の記載は特に慎重さが求められます。自己都合退職なのか、解雇なのか、就業規則に基づく退職扱いなのかによって取扱いが異なるためです。処理の整合が取れていないと、離職証明書の記載をめぐって本人から異議が出ることがあります。
住民税の特別徴収切替、源泉徴収票の交付、退職証明書の請求対応など、通常の退職時に発生する実務も忘れてはいけません。無断欠勤案件では感情的対立が強くなりやすいため、通常の退職以上に事務処理の正確さが求められます。
社員証、PC、スマートフォン、鍵、制服、名刺などの貸与品は、一覧化して返還請求を行いましょう。連絡が取れない場合は、内容証明や別送通知で返還期限を設けて請求します。
一方で、社内に残された私物は勝手に廃棄しないことが重要です。一定期間保管したうえで返還方法を通知し、それでも反応がない場合の取扱いを就業規則や社内ルールに沿って判断します。私物処分は思わぬ損害賠償トラブルにつながります。
無断欠勤によって現場が混乱した場合、「損害賠償を請求したい」と考える会社もあります。ただし、実際には請求のハードルは高いのが通常です。
労働者に対する損害賠償請求では、会社側が具体的損害と因果関係を立証する必要があります。単に「人手不足になった」「迷惑を被った」という程度では足りず、どの損害が、どの無断欠勤によって、どの程度発生したのかを示さなければなりません。
また、あらかじめ「無断欠勤したら違約金を支払う」といった予定損害賠償を定めても、労働法上問題になる可能性があります。感情的に請求を検討するのではなく、法的に成り立つかを見極める必要があります。
たとえば、機密情報の持ち出しや、引継ぎ拒否と組み合わさって重大な損害が発生した場合には、無断欠勤そのものというより別の債務不履行や不法行為の問題として検討されることがあります。
もっとも、従業員に対する損害賠償請求は、会社との力関係や過失相殺、信義則の観点も踏まえて制限的に判断される傾向があります。実際に請求するかどうかは、証拠の有無と回収可能性を含めて慎重に判断すべきです。
無断欠勤対応を個別案件ごとに迷わないためには、就業規則の整備が欠かせません。規定が曖昧だと、いざというときに自然退職も懲戒も進めにくくなります。
まず、「どのような状態を無断欠勤と扱うのか」を明確にしておく必要があります。たとえば、事前申請がない欠勤だけを指すのか、始業時刻後も連絡がない場合を含むのか、診断書未提出の病欠をどう扱うのかなどを整理しておきます。
欠勤時の連絡先、連絡期限、電話以外に認める手段、本人が連絡できない場合の家族連絡なども定めておくと実務で役立ちます。どの手段で連絡すべきかが不明確だと、後から「会社の求める連絡方法がわからなかった」と争われる余地が生じます。
近年は電話以外に、メール、ビジネスチャット、社内アプリなど連絡手段が多様化しています。実際に社員が日常的に使っている手段を踏まえて定めておかないと、ルールが形骸化しやすくなります。
自然退職規定を置くなら、単に「14日無断欠勤したとき」とするのではなく、次の要素を組み合わせて定める例が多くみられます。
要件が明確であるほど、運用のぶれを抑えやすくなります。
懲戒処分については、無断欠勤が何日以上でどのような処分対象になるのか、弁明機会をどう与えるのか、処分権者は誰かなどを定めておくと安全です。懲戒解雇まで予定するなら、軽い処分から段階的に進める余地も含めて設計しておくべきでしょう。
就業規則の不備は、無断欠勤トラブルが起きてから気づくことが多い部分です。現行規定で十分対応できるか、一度棚卸しすることをおすすめします。
無断欠勤が14日続いたら自動的に退職になりますか?なりません。14日という数字は実務上の目安として語られることがありますが、それだけで当然に自然退職が成立するわけではありません。就業規則の定め、周知状況、会社の連絡努力、本人の事情などを踏まえて判断する必要があります。
本人の退職意思が確認できていない以上、安易に自己都合退職として処理するのは避けるべきです。就業規則上の自然退職要件を満たすか、あるいは別途解雇手続を取るべきかを検討するのが基本です。
まずは記載内容を確認し、就労不能期間や通院状況に応じて休職制度の適用可否を検討します。病気療養が必要な状況であるにもかかわらず、無断欠勤だけを理由に直ちに解雇へ進むのは危険です。
必ずではありません。退職金規程の定めと、行為の悪質性、会社への影響などを総合的に見て判断されます。無断欠勤のみで一律に全額不支給とするのはリスクがあります。
できます。退職届の有無ではなく、雇用契約が終了した事実に基づいて手続を行います。ただし、離職理由の整理は慎重に行う必要があります。
初日から必須というわけではありませんが、電話やメールで連絡がつかず、欠勤が数日継続するなら早めに検討する価値があります。特に、後で自然退職や解雇を視野に入れる可能性がある場合は、会社の督促履歴を残す意味で有効です。
無断欠勤が続いても、すぐに退職扱いや解雇ができるわけではありません。まずは安否確認を行い、連絡や督促の記録を残し、病気・事故・メンタル不調・ハラスメントなどの事情がないかを確認することが出発点です。
そのうえで、就業規則の定めと個別事情を踏まえ、退職勧奨、自然退職、解雇のどれが適切かを見極める必要があります。特に「14日で自動退職」といった単純な処理は危険です。無断欠勤者への対応に迷ったら、早い段階で企業労務に詳しい弁護士へ相談し、通知書や手続の適法性を確認しながら進めることをおすすめします。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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