事業破産のメリットとは|デメリットや弁護士に相談する必要性も解説

専門家監修記事
債務超過などの理由で経営状況が厳しい会社は、事業破産の実行が有効に働くこともあります。ただし事業破産は、債務支払い義務からの免除というメリットがある一方、会社財産・価値の喪失というデメリットもあります。この記事では、事業破産のメリット・デメリットを解説します。
金子博人法律事務所
金子 博人
監修記事
事業再生・破産・清算

事業破産とは、破産申立てを裁判所に申し立てることにより、破産管財人が会社財産をすべて現金化し、債権者に配当することで、債務の支払い義務を免除した上で会社を消滅させる手続きです。

支払い能力がない会社にとって、返済義務が免除されることは大きなメリットです。ただし、デメリットもありますので、現在、債務超過などで返済に困っている事業者は、この記事を参考にご検討してみてください。

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事業破産の3つのメリット

事業破産するメリットは、主に以下の3つです。

債務の支払い義務がなくなる

事業破産手続きを完了することで債務は免除されます。

債務超過であり、これ以上の事業継続が不可能という場合は、破産手続きを履践することで債権者に対する迷惑が拡大することを防げるいう点がメリットです

返済や資金繰りから開放される

事業破産をすることで、返済や資金繰りに関する苦労や取り立てから解放されます。精神的な負担から解放され、債務の返済で悩まずに済むのは事業破産をする最大のメリットかもしれません。

また、事業破産と同時にご自身も破産することで、会社の経営難に伴い負った借金をゼロにすることが可能です。

事業破産することで再スタートできる

現在の事業に見切りをつけて事業破産することで、新しい人生を再スタートさせられます。もちろん、資金を集められれば、再度事業を立ち上げることも可能です。

事業破産のデメリット

借金の返済義務がなくなる代わりに、以下のようなデメリットが発生します。

1.破産した事実が知られ「破産」という不名誉を負う

破産すると、ニュースになってしまうケースが多く、あまり関係のない一般人でも破産の事実が耳に入るでしょう。中小企業や地方の企業でも事業破産すれば、官報や商工リサーチに掲載されるため、全国的に知られてしまうデメリットがあります。

2.技術・ノウハウ・取引網等の資源を失う

事業破産を行うと事業を継続できませんので、今まで築いてきた技術・ノウハウ・取引網等の資源を失ってしまいます。これは、あなたの会社だけではなく社会全体としてのデメリットといえるでしょう。

特に、専門的な技術やノウハウを持っている場合、事業破産を申し立てる前に事業譲渡するなど、M&Aができないか、再度検討しましょう。

3.従業員を解雇することになる

従業員を解雇することは、経営者としてもつらい決断でしょう。また、解雇の際、退職金などの手当の支給なども必要になるため、経済的にもかなり厳しい状況に追い込まれる可能があります。

解雇する理由の説明や手当の金額などは弁護士とよく相談した上で決めることで、解雇に伴う従業員トラブルを回避することが可能です。

4.取引先にも迷惑をかける

事業破産によって取引先に迷惑をかけてしまうのは避けて通れません。あなたの会社が破産することで、どうしても、大きな損をしてしまう会社が発生してしまいます

資金繰りが苦しくなっても、早めに専門家に相談すれば、破産を回避し、民事再生を申し立てて事業再生を図る可能性もでてきますが、この場合も再生計画で大幅な債権カットをすることとなるので、取引先を巻き込むことになります。

しかし、特定調停が可能であれば、金融機関だけを相手に交渉でき、取引先を巻き込むことを回避できます。ただ、これらの場合、スポンサーを確保する必要があるのが通常で、有能な専門家のサポートを得ることが必須です。

また、スポンサーを確保できれば、そのスポンサーにより銀行債権を買い取ってもらって、解決するという「奥の手」もあり得ます。これによれば、次で説明する代表者個人の破産も回避できます。保証債務も一緒に買い取ってもらえるからです。

5.代表者個人に返済義務が発生することもある

事業破産を行うことで、債務の支払い義務は免除されますが、もし代表者が連帯保証人になっている場合は、代表者個人に返済義務が発生します。

そのため、事業破産する前に連帯保証人になっているか事前の確認が必要です。もし連帯保証人になっていても、代表者個人が破産することで借金をゼロにできます。

とはいえ、積極財産も失うことと(生活に必要な最低限のものは除かれますが)、信用機関に登録され当面、銀行借入ができないので、自ら会社社長となって再起することが困難となることは、忘れないでください。

事業破産の流れ

事業破産では、基本的に以下のような流れで進んでいきます。

破産開始決定とともに、申立て先の裁判所から破産管財人が選出され、その後は破産管財人によって会社財産の管理・手続きの進行が行われます。破産管財人や依頼した弁護士に虚偽の申告などは絶対にしてはいけません。後から隠し財産が見つかった場合、罪に問われる可能性があります。

事業破産を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼する最大のメリットは手続きを代理してくれることです

弁護士に依頼することで、事業破産に関する手続きを代理してもらうことができるため、手続きのスムーズな進行や法的トラブルからの回避なども望めます。

また、もし会社の債務について連帯保証人になっている場合は、「事業破産を行った場合、どれほどの返済義務が発生するか」についても助言が受けられるでしょう。

弁護士の選び方|おすすめの相談窓口

事業破産を依頼すべき弁護士はどのような弁護士でしょうか。おすすめの相談窓口と併せてご紹介します。

どんな弁護士を選ぶべきか?

弁護士に依頼する場合は、事業破産に関する分野に注力している事務所や、相談解決実績のある事務所などを選ぶべきでしょう。

費用については、会社規模や債権者数などによって、料金体系が大きく異なるため、実際に事務所へ確認することをおすすめします。

また相談する際は、預貯金通帳・決算書・事業に関する帳簿・財産や負債に関する一覧表など、会社の財産状況について記された資料を用意しておくことで、具体的な回答が期待できるでしょう。

弁護士との相性も重要

弁護士選びでは、弁護士自身の実績も重要ですが、あなたと弁護士の相性も重要です。事業破産は最低でも6ヶ月はかかりますので、その間一緒に仕事ができるかどうかもひとつの判断基準になるでしょう。

おすすめの相談窓口

実績のある弁護士をあなたの事情に合わせて探したいのであれば【企業法務弁護士ナビ】がおすすめです。企業法務弁護士ナビでは、一定の掲載基準を設けている上に、地域・業種・相談内容から弁護士を探すことができます。

まとめ|事業破産の弁護士費用

債務をどうしても返済できない場合は、早い段階で弁護士に相談し、今後どうするのかを検討しましょう。経営者が破産しかないと思いこんでいても、前述の通り、それを回避する手段はいくつもあり、破産を回避できるかもしれません。

 

また、弁護士がスポンサーを確保できるノウハウを持っていれば、事業破産でもスポンサーを見つけて、第2会社という受け皿を設立し、申立前に会社の経営資源(人もモノもノウハウも)を売却して、売却代金を破産管財人に引き継ぐか、管財人の手で会社の経営資源を第二会社に売却するという手段もあり得ます。

 

ただし、そのように柔軟な選択を検討するには、早期の相談が必要です。弁護士から見ても、破産しかないケースもあります。少しでも経営・資金繰りに不安を抱えている方は、まず弁護士にご連絡ください。

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