用語集

企業法務の用語集

お気に入り追加

訂正目論見書

読み: ていせいもくろみしょ 

訂正目論見書とは、すでに作成・交付した目論見書の記載内容に変更や追加が生じたとき、その訂正事項を投資者へ伝える文書です。IPOでは「新株式発行並びに株式売出届出目論見書の訂正事項分」などの表題で作成されます。

有価証券届出書を訂正する「訂正届出書」と、投資者に交付する目論見書の訂正事項分は役割が異なります。両方の記載が食い違わないよう、発行会社、主幹事証券会社、専門家が短い日程で確認します。

訂正目論見書が必要になる場面

募集または売出しに関する情報が変わり、目論見書の訂正が必要になった場合に作成します。IPOでよく見られるのは、仮条件や公開価格、募集・売出株式数、引受人の引受株式数などが確定した場面です。

届出の効力発生前に、有価証券届出書の重要な事項に変更が生じた場合や、訂正が必要な記載が見つかった場合は、訂正届出書の提出が問題になります。金融商品取引法は、訂正届出書、目論見書の作成、目論見書の交付をそれぞれ定めています。

参考:e-Gov法令検索|金融商品取引法

訂正目論見書と訂正届出書の違い

訂正届出書

訂正届出書は、提出済みの有価証券届出書を訂正するため、発行会社がEDINETを通じて提出する開示書類です。届出書の内容を公的な開示情報として更新する役割があります。

訂正目論見書

訂正目論見書は、投資者が募集・売出しの条件や発行会社の情報を確認できるよう、目論見書の訂正内容を示す文書です。実務では、元の目論見書と訂正事項分をあわせて読む形が多く見られます。

訂正届出書を提出したからといって、投資者向けの対応が自動的に終わるわけではありません。どの情報を、どの方法で、いつ交付または公表するかを確認する必要があります。

参考:e-Gov法令検索|金融商品取引法

IPOでの訂正目論見書の扱い

IPOでは、上場承認後に仮条件を決め、ブックビルディングを経て公開価格を決定します。その過程で募集・売出しの条件が具体化するため、有価証券届出書と目論見書の記載を更新します。

ただし、公開価格などの発行条件が後から決まる場合でも、必ず訂正目論見書を個別に交付するとは限りません。目論見書に発行条件の公表方法を記載し、その方法で公表するなど、法令上の要件を満たせば、訂正目論見書の交付が免除される仕組みがあります。

近年のIPO日程短縮の取組みでも、公開価格等の公表方法を目論見書に記載し、訂正目論見書を交付しない実務が検討・整備されています。案件ごとに採用する方式を早めに決める必要があります。

参考:金融庁|アクセスFSA 第72号

参考:金融庁|成長資金供給に係る制度整備の進捗状況②(IPOプロセスの見直し)

発行会社が確認すべき実務上のポイント

訂正する数値と日付を一元管理する

公開価格、発行数、売出数、オーバーアロットメント、引受株式数、申込期間などは複数の書類に現れます。更新箇所を一覧化し、有価証券届出書、目論見書、取締役会資料、プレスリリースの整合を確認します。

訂正届出書の効力発生日を確認する

訂正届出書を提出すると、訂正の内容によって届出の効力発生日に影響します。投資者から申込みを受け付ける日程にも関わるため、提出日だけで判断せず、主幹事証券会社や専門家と効力発生日を確認します。

交付方法と証跡を残す

訂正目論見書を交付する場合は、対象者、交付時期、交付方法を決めます。電子交付を利用する場合も、適用要件と社内手続きを確認し、誰にどの版を交付したか追跡できる状態にしておく必要があります。

参考:金融庁|企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)の改正

訂正目論見書でよくある疑問

訂正目論見書だけを読めば内容を把握できますか?

訂正事項分だけでは、募集・売出しの全体像を把握できないことがあります。元の目論見書と、その後に交付されたすべての訂正事項分をあわせて確認してください。

公開価格が決まると必ず訂正目論見書が交付されますか?

必ずとは限りません。目論見書に記載した方法で発行条件を公表し、所定の要件を満たす場合には、訂正目論見書の交付が免除されることがあります。

訂正届出書と訂正目論見書は同じ書類ですか?

同じ書類ではありません。訂正届出書は提出済みの有価証券届出書を訂正する開示書類で、訂正目論見書は投資者へ訂正内容を伝えるための文書です。

【関連記事】

上場(IPO)の準備マニュアル|流れ・失敗する会計リスク・内部統制整備対策について

IPOのメリット・デメリット|上場に向けて経営者が準備すべき事は?

IPO(上場)サポートを弁護士に依頼する5つのメリット|弁護士費用も詳しく解説

関連用語集

貴社の課題解決に最適な
弁護士とマッチングできます
契約書の作成・レビュー、機密性の高いコンフィデンシャル案件、M&A/事業承継など、経営者同士でも話せない案件も、
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。
弁護士の方はこちら