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企業法務の用語集
公募比率とは、IPOで投資家へ提供する株式のうち、会社が新たに発行する公募株式が占める割合です。公募株式と既存株主が保有株を売却する売出株式の構成を示し、会社への資金流入と既存株主による売却のバランスを見る指標として使われます。
基本的な計算式は次のとおりです。
公募比率(%)=公募株式数÷(公募株式数+売出株式数)×100
たとえば、公募株式が60万株、売出株式が40万株なら、公募比率は60%です。公募と売出しの合計は、一般に公開株式数と呼ばれます。
資料によっては、オーバーアロットメントによる売出しを分母へ含める場合と含めない場合があります。複数のIPOを比較するときは、同じ定義で計算されているかを確認する必要があります。
公募は、会社が新株を発行し、広く投資家を募集する方法です。投資家が払い込んだ資金は会社に入り、設備投資、研究開発、人材採用、借入金の返済など、開示した資金使途に充てられます。
新株発行によって発行済株式数が増えるため、既存株主の持株比率や1株当たり指標には希薄化の影響が生じます。会社は調達の必要性と希薄化の程度を併せて検討します。
売出しは、創業者、役員、ベンチャーキャピタルなどの既存株主が保有株式を投資家へ売却する方法です。売却代金は株主に入り、会社へ直接入るものではありません。
売出しには、既存株主の投資回収だけでなく、市場で流通する株式を確保し、株主層を広げる役割もあります。売出しが多いことだけを理由に、IPOの良し悪しを判断することはできません。
公募比率が高いIPOは、公開株式の中で新株発行の割合が大きく、会社の資金調達を重視した構成です。ただし、実際の調達額は公募株式数だけでなく、発行価格や発行諸費用によっても変わります。
公募比率が低いIPOは、相対的に売出株式の割合が大きい構成です。誰が何株を売却し、上場後にどの程度保有を続けるのかを確認すると、株主構成の変化を把握しやすくなります。
公募を増やすと会社の調達額を増やせる一方、既存株主の持株比率は低下します。売出しは新株を増やしませんが、売却する株主の持株比率が下がります。どちらも市場へ株式を供給するため、上場後の流動性に関係します。
公募比率だけを先に決めるのではなく、事業計画に必要な調達額、希望する株主構成、既存株主の売却意向、上場後の流通株式数、市場の吸収力を整理します。主幹事証券会社と協議し、公開価格の想定が変わった場合も複数の案を比較します。
公募・売出しの株式数、価格、手取金の使途、主要株主の売却内容は、投資家の判断に関わる情報です。上場準備では、有価証券届出書や目論見書などの開示内容と社内の資本政策資料を一致させ、変更が生じた場合の承認手続も明確にします。
公開価格をブックビルディングで決定した場合、申請会社と元引受取引参加者は、公開価格と決定理由などを公表し、その写しを東京証券取引所へ提出します。
参考:日本取引所グループ|新規上場ガイドブック グロース市場編
一概にはいえません。高い公募比率は会社の資金調達に結びつきますが、希薄化も大きくなります。事業上の資金需要と上場後の株主構成を踏まえて判断します。
売出株式の代金は売却した既存株主に支払われるため、会社へ直接入りません。会社へ入る資金は、公募による払込額から発行諸費用などを差し引いた手取金です。
計算目的や資料の定義によって異なります。比較するときは、オーバーアロットメントによる売出株式を公開株式数へ含めているかを確認し、計算条件をそろえる必要があります。
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