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公募価格

読み: こうぼかかく 

公募価格とは、会社が株式を公募するときに、投資家が1株を取得するために支払う価格です。IPOでは公募株と売出株を同じ条件で販売することが多く、両方を含む価格を「公開価格」と呼ぶのが一般的です。実務では公募価格と公開価格が同じ意味で使われる場面もあります。

公募価格と似た用語の違い

公開価格

公開価格は、IPOの上場前に行う公募または売出しで、投資家へ販売する価格です。公募株だけを指す場合は公募価格、既存株主が売却する売出株だけを指す場合は売出価格と表すことがあります。

払込金額

払込金額は、募集株式1株と引き換えに引受人が会社へ払い込む金銭などの額です。会社法199条は、募集株式の数、払込金額またはその算定方法、払込期日・払込期間、増加する資本金・資本準備金などを募集事項として定めるよう求めています。

初値

初値は、新規上場後に取引所で最初に成立した価格です。上場前に決まる公募価格とは異なり、上場日の買い注文と売り注文によって決まります。そのため、初値が公募価格を上回ることも下回ることもあります。

参考:日本取引所グループ|発行価格

参考:e-Gov法令検索|会社法

IPOで公募価格が決まる流れ

想定発行価格を検討する

申請会社と主幹事証券会社は、事業計画、収益力、財務状況、類似上場会社の株価指標、市場環境などを検討し、目論見書などに示す想定発行価格を設定します。想定発行価格は最終的な販売価格ではなく、その後の需要調査の基礎になる価格です。

仮条件を設定する

機関投資家へのヒアリングなどを踏まえ、投資家が需要を申告する価格帯である仮条件を設定します。上限と下限を持つ価格帯として示されるのが一般的です。

ブックビルディングを行う

投資家は、仮条件などを確認したうえで希望価格と株数を申告します。申請会社と元引受証券会社は、ブックビルディングで把握した需要状況、上場日までの相場変動リスク、需要見通しなどを総合して公開価格を決めます。

公募価格と株数を確定する

2023年10月1日以降に上場承認されたIPOでは、目論見書などに範囲が記載されている場合、仮条件の範囲外で公開価格が決まったり、価格決定と同時に売出株式数が変わったりする可能性があります。法務担当者は従来の進め方を前提にせず、適用する規則と目論見書の記載を確認する必要があります。

参考:日本取引所グループ|ブックビルディング方式

参考:日本証券業協会|IPOにおける公開価格の設定プロセスの見直しについて

公募価格が会社と株主に与える影響

公募価格と公募株数は、会社がIPOで受け取る資金の基礎になります。価格が低ければ同じ株数でも調達額が小さくなり、価格が高ければ調達額は増えます。ただし、投資家の需要とかけ離れた価格では、申込みが集まりにくくなったり、上場後の初値が公開価格を下回ったりする可能性があります。

新株発行では発行済株式数が増えるため、既存株主の持株比率や1株当たり利益が低下することがあります。公募価格を検討するときは、必要な調達額だけでなく、発行株数、希薄化、上場後の流通株式数、株主構成も併せて確認します。

また、IPOでは新株を発行する公募と、既存株主が保有株を売却する売出しが組み合わされることがあります。公募分の払込金は会社に入りますが、売出分の売却代金は売出人である既存株主に入るため、区別して資金計画を立てます。

参考:日本取引所グループ|株式公開(IPO)

公募価格を決める際の法務上の確認事項

  • 会社法に基づく募集事項と決議機関を確認する
  • 定款の発行可能株式総数と発行後の株式数を照合する
  • 公募株、売出株、オーバーアロットメントの株数を区別する
  • 有価証券届出書、目論見書、取引所への提出書類の価格・株数・日付をそろえる
  • 資金使途と調達見込額の整合を確認する
  • 既存株主の希薄化や株主間契約への影響を確認する

払込金額が引受人に特に有利な金額となる場合、会社法上は株主総会でその金額にする理由を説明する必要があります。公開会社か非公開会社か、取締役会設置会社かどうかなどによって決定手続が異なるため、会社の機関設計と定款を確認して進めます。

参考:e-Gov法令検索|会社法

公募価格でよくある疑問

公募価格は仮条件の上限で決まるのでしょうか?

上限で決まるとは限りません。投資家の需要状況などを踏まえて決定されます。また、目論見書などにあらかじめ範囲が示されていれば、仮条件の範囲外で決まる可能性もあります。

公募価格と初値は同じ価格ですか?

同じとは限りません。公募価格は上場前の販売価格、初値は上場後に市場で最初に成立した価格です。初値が公募価格を下回る状態は、公募割れと呼ばれます。

公募価格が高いほど会社に有利ですか?

同じ公募株数なら調達額は増えますが、需要とかけ離れた価格は申込みや上場後の株価に影響する可能性があります。調達額、投資家の需要、希薄化、上場後の株主構成を総合して検討する必要があります。

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