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企業法務の用語集
目論見書未交付とは、金融商品取引法上、目論見書の交付が必要な有価証券の募集・売出しにおいて、取得者へ所定の時期までに目論見書を交付していない状態です。金融商品取引法第15条第2項は、発行者や証券会社などが対象有価証券を募集・売出しにより取得させ、または売り付ける場合、原則として目論見書をあらかじめ、または同時に交付するよう求めています。
目論見書は、発行条件、事業内容、財務情報、リスク情報などを投資家へ伝える書類です。紙を渡していなくても、法令上の要件を満たす電子交付が行われていれば、直ちに未交付とはいえません。一方、ファイルへのリンクを送っただけで必要な手続や閲覧環境を満たしていなければ、交付が成立していない可能性があります。
目論見書とは、有価証券の募集・売出しなどのために、発行者の事業その他の事項を記載し、相手方に交付する文書です。金融商品取引法第13条は、原則として、有価証券届出書の提出が必要な募集・売出しを行う発行者に目論見書の作成を求めています。
目論見書には、あらかじめ交付することが原則となる「交付目論見書」と、投資家から請求があった場合に交付する「請求目論見書」があります。投資信託などでは両者が区分されており、交付時期や手続を混同しないことが大切です。
| 項目 | 内容 | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 作成義務 | 募集・売出しに使用する目論見書を作成する義務 | 金融商品取引法第13条 |
| 交付義務 | 対象有価証券を取得させ、または売り付ける際に目論見書を交付する義務 | 金融商品取引法第15条 |
| 記載内容の正確性 | 重要な虚偽記載や記載漏れを防ぐ義務 | 金融商品取引法の開示規制 |
目論見書を作成していても投資家へ交付していなければ、交付義務の問題が残ります。反対に、交付済みでも重要な虚偽記載や記載漏れがあれば、別の開示規制上の問題が生じます。
典型例は、IPOや公募増資で株式を募集する場合、株主が保有株式を公募で売り出す場合、投資信託を販売する場合などです。金融商品取引法第15条第2項の対象者には、発行者、売出人、引受人、金融商品取引業者、登録金融機関、金融商品仲介業者などが含まれます。
法律上の交付時期は、有価証券を募集・売出しにより取得させ、または売り付けるときの「あらかじめ又は同時」です。実際の販売手続では、注文や契約のどの段階までに交付確認を完了させるかを、法令、自主規制、社内手続に沿って設定します。
金融商品取引法第15条第2項には、次のような例外があります。
例外を利用する場合は、対象者の要件と同意の有無を確認し、その記録を保存します。「プロの投資家だから不要だろう」「家族に渡したから足りるだろう」と担当者の判断だけで省略してはいけません。
目論見書は、一定の要件を満たせば電磁的方法で交付できます。実務では、電子交付に必要な同意、交付時の通知、顧客が閲覧できる状態、データの保存、改ざん防止、障害時の代替手段などを確認します。
メール本文にURLを記載しただけでは、採用する方式と法令上の要件によっては十分でないことがあります。顧客ごとに、同意日時、通知日時、文書の版、閲覧可能期間、エラーの有無を追跡できる仕組みが必要です。システム障害が起きたときは、紙または別の電磁的方法へ切り替えられるようにします。
有価証券届出書の訂正に伴い、目論見書の記載内容が変わる場合は、訂正目論見書の作成・交付が必要になることがあります。既に当初の目論見書を交付した投資家に対し、どの訂正版をいつ交付するかを管理しなければなりません。
発行価格など、当初の目論見書に未記載だった事項については、法令で定められた方法により公表することで、訂正目論見書の交付に代えられる場合があります。しかし、価格以外の重要事項に変更がある場合まで一律に省略できるわけではありません。
交付義務があるのに目論見書を交付せず、募集・売出しにより有価証券を取得させたり売り付けたりすれば、金融商品取引法第15条第2項に反します。金融商品取引業者に法令違反があれば、事案の内容に応じて監督上の対応や行政処分の対象となる可能性があります。刑事責任についても、適用される罰則規定と行為者、故意などの要件を個別に確認する必要があります。
目論見書が未交付だったことだけで、有価証券の取得契約に一律の取消権が発生するとはいえません。金融商品取引法第15条第3項は、一定の有価証券について、投資家から請求目論見書の交付請求があった場合の交付義務を定めた規定であり、未交付を理由とする一般的な契約取消権を定めた条文ではありません。
投資家の救済は、勧誘時の説明、虚偽記載の有無、損害との因果関係、契約条項などによって異なります。目論見書の重要な虚偽記載に関する損害賠償責任と、単純な交付漏れは区別して検討します。
交付漏れが判明すると、販売停止、対象顧客の特定、再交付、当局や取引所・主幹事への相談などが必要になる場合があります。IPOでは、内部管理体制や法令遵守体制への懸念として、審査日程や販売スケジュールに影響する可能性もあります。
後から目論見書を送れば、当初の未交付がなかったことになるわけではありません。事実を改変せず、どの時点で何を行ったかを時系列で記録することが重要です。
IPOでは、目論見書の作成主体である発行会社と、引受・販売を担う証券会社が連携します。発行会社は販売会社に任せきりにせず、次の事項を確認しましょう。
最終版の目論見書が完成していても、販売現場で古い版が使用されれば問題になります。文書管理番号などを用い、誰が見ても版を識別できる運用が有効です。
金融商品取引法第15条第2項は、有価証券を取得させ、または売り付ける際に、あらかじめまたは同時に交付することを求めています。具体的な申込・約定手続では、対象商品に適用される法令や自主規制、社内規程を確認してください。
メールを送信しただけで常に交付が成立するとは限りません。電子交付への同意、通知、閲覧可能性、保存など、採用する方法に応じた要件を満たしている必要があります。送信エラーやリンク切れも確認します。
同一銘柄を保有しているだけで自動的に不要になるわけではありません。目論見書を受け取らないことへの同意があり、取得時までに交付請求がないことなど、法定の条件を満たす必要があります。
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