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服務規律

読み: ふくむきりつ 

服務規律とは、従業員が仕事をするうえで守るべき行動上のルールです。一般には就業規則の一部として、勤務態度、指揮命令の遵守、秘密保持、ハラスメントの禁止、会社設備の利用などを定めます。職場の秩序を保つだけでなく、従業員に何が求められ、どの行為が禁止されるのかを事前に示す役割があります。

服務規律と就業規則の違い

就業規則は、労働時間、賃金、退職、懲戒など、事業場で働くうえでの労働条件や職場規律をまとめた規則です。服務規律は、その中でも従業員の行動や義務、禁止事項を定める部分を指します。

服務規律という名称の独立した規程を作ることもできますが、懲戒処分と結びつける場合は、就業規則の懲戒事由との対応関係を明確にし、従業員へ周知しておく必要があります。

服務規律に定める主な内容

勤務態度と指揮命令

  • 始業・終業時刻、遅刻、早退、欠勤の手続
  • 上司の適法かつ合理的な業務命令に従うこと
  • 勤務時間中に私的な行為をしないこと
  • 酒気帯び勤務や職場秩序を乱す行為の禁止

秘密情報と個人情報の管理

  • 顧客情報、営業秘密、個人情報を無断で持ち出さないこと
  • 私物端末や私用クラウドへ業務データを保存しないこと
  • 退職後も秘密保持義務が続く範囲
  • 情報漏えいのおそれを認識した場合の報告手順

ハラスメントと職場環境

パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントの禁止を定めます。禁止行為の例、相談窓口、調査への協力、相談者や協力者に対する不利益な取扱いの禁止まで示すと、実際の対応につなげやすくなります。

会社設備や経費の利用

パソコン、社用車、アカウント、備品、経費などの私的利用をどこまで禁止するかを定めます。ログの確認や持ち物検査を行う可能性がある場合は、その目的、対象、方法を明確にし、従業員のプライバシーへ配慮します。

SNSの利用

会社名を出していない投稿でも、画像や勤務先の情報から企業が特定されることがあります。顧客情報や未公表情報の投稿、他者への誹謗中傷、会社の信用を不当に損なう投稿など、禁止する行為を具体的に示します。私生活上の投稿を広く禁止するのではなく、企業秩序や業務への影響との関係を説明できる範囲にします。

副業・兼業

厚生労働省のモデル就業規則は、勤務時間外の副業・兼業を認める規定を置き、労務提供上の支障、秘密漏えい、競業、会社の信用を損なう行為などがある場合に禁止・制限できる形を示しています。全面禁止とするのではなく、届出事項、判断基準、労働時間や健康状態を確認する方法を定めることが重要です。

テレワーク

自宅やサテライトオフィスで働く場合には、端末の管理、公共の場所での画面表示や通話、書類の廃棄、通信費などの費用負担、事故発生時の連絡方法を定めます。厚生労働省は、テレワークのルールを労使で協議し、就業規則に定めて適切に周知することが望ましいとしています。

服務規律を作成・変更する流れ

  1. 職場のリスクを洗い出す:業種、働く場所、使用する情報、過去のトラブルを確認します。
  2. 禁止行為を具体化する:抽象的な精神規定だけでなく、従業員が判断できる表現にします。
  3. 懲戒規定と照合する:服務規律違反の程度と、懲戒の種類や判断要素が対応しているかを確認します。
  4. 労働者の意見を聴く:常時10人以上の労働者を使用する事業場で就業規則を作成・変更するときは、過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴きます。
  5. 労働基準監督署へ届け出る:必要な意見書を添付し、就業規則を届け出ます。
  6. 従業員へ周知する:書面の交付、見やすい場所への掲示、社内システムへの掲載などで確認できる状態にします。

服務規律違反に懲戒処分を行う際の注意点

服務規律に違反したからといって、直ちに重い懲戒処分が有効になるわけではありません。労働契約法第15条は、労働者の行為の性質・態様その他の事情に照らして、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合は無効としています。

処分を検討するときは、事実関係、故意・過失、会社への影響、過去の処分例、本人の説明、反省や再発防止の状況を確認します。同じ程度の違反に異なる処分を行うと公平性が問題になるため、判断過程を記録してください。

本人へ弁明の機会を与え、就業規則に定めた手続を守ることも重要です。調査中の自宅待機や端末回収を命じる場合も、業務上の必要性と期間、賃金の扱いを個別に検討します。

実効性のある服務規律にするポイント

  • 「会社にふさわしくない行為」だけで済ませず、代表例と判断基準を示す
  • 規則、情報セキュリティポリシー、SNSガイドラインの内容を一致させる
  • 管理職を含む全従業員に定期的な研修を行う
  • 違反を相談・報告する窓口と対応手順を整える
  • 働き方や法令の変化に合わせて定期的に見直す

細かい禁止事項を増やすだけでは、従業員が内容を理解できず、運用もばらつきます。守るべき理由と具体例を説明し、相談できる仕組みまで整えることで、服務規律が日常の判断基準として機能します。

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