労働施策総合推進法(正式名称:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)とは、労働力の需給調整や雇用管理の改善などを通じて、労働者の職業の安定と福祉の増進を図ることを目的とした法律です。1966年(昭和41年)に「雇用対策法」として制定されましたが、2018年7月6日に公布された働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律、平成30年法律第71号)により題名が変更され、現在の名称になりました。改称にあわせて、職場におけるパワーハラスメント防止措置の義務化など、企業の雇用管理に関わる規定が段階的に追加されています。
労働施策総合推進法が定める主な制度
労働施策総合推進法は、企業の雇用管理に関する複数の義務・努力義務を定めています。企業法務の観点から特に押さえておくべき制度は、次のとおりです。
- パワーハラスメント防止措置義務:職場において行われる、優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害される行為を防止するため、事業主に相談体制の整備等の雇用管理上の措置を義務付けています。大企業は2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から義務化の対象です。
- 中途採用比率の公表義務:常時雇用する労働者が301人以上の企業に対し、直近3事業年度の中途採用比率を年1回以上、自社ホームページ等で公表するよう義務付けています。2021年4月1日から施行されています。
- 外国人雇用状況の届出義務:外国人労働者を雇い入れ、または離職させたときに、氏名や在留資格などをハローワークに届け出ることをすべての事業主に義務付けています。届出を怠った場合や虚偽の届出を行った場合は、30万円以下の罰金の対象となります。
- 大量雇用変動の届出義務:1つの事業所で1か月以内に30人以上の離職者が生じる場合に、再就職援助計画の作成・認定を受けるか、大量離職届をハローワークに提出するよう事業主に義務付けています。
参考:厚生労働省|労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
カスタマーハラスメント防止措置の義務化(2026年10月施行)
2025年の通常国会で成立した改正労働施策総合推進法により、事業主に対してカスタマーハラスメント(カスハラ)防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務付けられ、2026年10月1日から施行されます。対象は企業規模を問わずすべての事業主で、方針の明確化や相談体制の整備などが求められます。カスハラの定義や企業が講ずべき具体的な措置については、カスタマーハラスメント対策で詳しく解説しています。
参考:厚生労働省|令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!カスタマーハラスメント対策の義務化【改正労働施策総合推進法・指針の内容】
企業法務での実務ポイント
- 就業規則・ハラスメント防止規程の見直し:パワハラ防止措置義務やカスハラ対策の義務化にあわせて、就業規則やハラスメント防止規程に相談窓口・対応フローを明記し、実態に即した内容へ更新することが重要です。
- 相談窓口の実効性確保:相談窓口を設置するだけでなく、相談者・行為者双方のプライバシー保護や、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止を周知し、実際に機能する体制を整える必要があります。
- 中途採用比率・外国人雇用状況の公表体制:対象企業は、社内の人事データを整理し、公表期限に間に合うよう情報を集約する体制をあらかじめ構築しておくことが求められます。
- 取引先・顧客対応部門との連携:カスハラ対策は営業・カスタマーサポート部門の対応方針にも関わるため、法務部門だけでなく現場部門と連携して社内ルールを整備することが望ましいです。
関連法令
- 男女雇用機会均等法
- 育児・介護休業法
- 労働基準法
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則
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