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企業法務の用語集
春闘とは、労働組合が毎年春を中心に、賃金や一時金、労働時間、休暇などの労働条件について企業と交渉する取り組みです。正式には「春季生活闘争」と呼ばれます。多くの労働組合が同じ時期に要求を提出し、産業別組織や連合が方針や回答状況を共有することで、個別企業の交渉を後押しします。
春闘は、法律で実施時期や賃上げ率が決められた制度ではありません。各労働組合が自社の経営状況や物価、賃金水準などを踏まえて要求を決め、使用者との団体交渉を通じて合意を目指します。そのため、結果は企業や産業によって異なります。
春闘では賃上げが注目されますが、交渉事項は賃金に限られません。企業と労働組合は、職場の課題に応じて次のような内容を話し合います。
ベースアップと定期昇給は意味が異なります。ベースアップは賃金表や賃金水準そのものを引き上げることです。定期昇給は、既存の賃金制度に基づき、年齢や勤続年数、評価などに応じて個人の賃金を上げることを指します。賃上げ率を見るときは、どちらを含む数値か確認する必要があります。
連合や産業別組織が、物価、賃金、雇用情勢などを踏まえて春闘方針を示します。企業別労働組合は、その方針を参考にしつつ、自社の組合員の意見と経営状況を確認して要求内容を決めます。
労働組合は、賃上げ、一時金、労働時間などの要求をまとめ、使用者へ要求書を提出します。要求の根拠となる生活実態、同業他社の賃金、企業業績、人材確保の状況なども整理します。
労使が交渉を重ね、使用者は回答の根拠を説明します。単に「要求には応じられない」と述べるだけではなく、労働組合の要求を検討し、必要な資料や考え方を示しながら誠実に協議することが重要です。
労使が合意したら、必要に応じて労働協約を締結します。賃金表、賃金規程、就業規則などを変更し、対象者、改定額、適用日を従業員へ周知します。合意内容と給与計算の設定が一致しているかも確認します。
労働組合法は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉することを、正当な理由なく拒む行為を不当労働行為として禁止しています。日程を形式的に引き延ばす、決定権のない担当者だけを出席させる、必要な説明を一切しないといった対応は、交渉態度の問題となる可能性があります。
組合員であること、労働組合へ加入・結成しようとしたこと、正当な組合活動をしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをすることも禁止されています。春闘への参加や要求提出を理由に、人事評価や配置で不利益を与えてはなりません。
労働組合と使用者が、労働条件などについて書面を作成し、両当事者が署名または記名押印すると労働協約になります。労働協約に定める労働条件に反する労働契約の部分は無効となり、その部分には協約の基準が適用されます。
厚生労働省が2026年7月31日に公表した民間主要企業の集計では、平均妥結額は1万8,167円、賃上げ率は5.18%でした。集計対象は、妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上で労働組合のある企業428社です。
この数値は、日本のすべての企業や労働者の平均ではありません。自社の賃金改定を検討するときは、春闘の全体結果だけでなく、同業他社、地域別最低賃金、採用市場、自社の支払能力や賃金制度を合わせて確認する必要があります。
参考:厚生労働省|令和8年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します
賃上げ要求に対する回答では、人件費、収益、物価、同業他社との比較、人材確保への影響などを整理します。回答額だけでなく、どの資料と判断基準を用いたか説明できる状態にしておくと、交渉を進めやすくなります。
要求書、回答書、議事録、提出資料、合意書を保存します。団体交渉で合意した事項と、就業規則や賃金規程へ反映する事項を分けて管理し、適用対象や開始日を明確にします。
賃金制度や労働時間制度を変更する場合は、就業規則の変更手続きが必要になることがあります。常時10人以上の労働者を使用する事業場で就業規則を変更するときは、労働者側の意見を聴き、所轄の労働基準監督署長へ届け出ます。変更後の規則は労働者へ周知します。
一般には、年末から翌年初めに方針を決め、2月ごろに要求を提出し、3月を中心に回答・交渉が進みます。ただし、具体的な日程は産業や労働組合によって異なり、交渉が春以降も続く場合があります。
春闘の妥結結果がそのまま適用されるわけではありません。ただし、採用競争や賃金相場に影響するため、労働組合のない会社でも賃金改定の参考資料として使われます。
異なります。春闘の賃上げ率は労使交渉の結果であり、最低賃金は最低賃金法に基づき地域別・産業別に定められる賃金の下限です。春闘で合意がなくても、企業は適用される最低賃金を下回る賃金を支払うことはできません。
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