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地域限定型採用

読み: ちいきげんていがたさいよう 

地域限定型採用とは、勤務する地域や事業所の範囲をあらかじめ限定して人材を採用する方法です。「勤務地限定正社員」「エリア限定職」などと呼ばれ、転居を伴う転勤を原則として行わない制度や、特定の都道府県・地域ブロック内だけで異動する制度があります。

法律上、地域限定正社員という統一的な雇用区分があるわけではありません。会社ごとに限定の範囲が異なるため、求人票、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則で具体的に示す必要があります。

地域限定型採用の主な種類

事業所限定型

採用時に指定した店舗、工場、営業所など、一つの事業所だけで勤務する区分です。「勤務地は横浜事業所に限る」など、事業所名まで特定します。

通勤圏限定型

本人の居住地から通勤できる範囲で異動する区分です。通勤時間や交通手段によって認識が分かれやすいため、「片道90分以内」などの判断基準を定めます。

地域ブロック限定型

関東、東海、関西など、複数の都道府県を含む地域内で異動する区分です。転居を伴う異動を含むか、地域ブロックの境界を越える異動に本人同意が必要かを明確にします。

全国転勤型正社員との違い

全国転勤型正社員は、会社の事業所全体を異動範囲とするのが一般的です。地域限定正社員は、労働契約で合意した地域を越える配置転換が制限されます。

業務内容、労働時間、雇用期間が同じでも、転勤範囲、役割、昇進経路、手当などが異なることがあります。会社は区分ごとの差を一覧にし、応募者が働き方と処遇を比較できるようにしてください。

地域限定型採用のメリット

人材を確保しやすくなる

育児、介護、配偶者の仕事、住宅などの事情で転居が難しい人も応募しやすくなります。地域で長く働きたい人材や、土地勘を業務に活かせる人材の採用にもつながります。

定着を促しやすい

転居を伴う転勤への不安を減らせるため、従業員が生活設計を立てやすくなります。地域の顧客や取引先との継続的な関係を保ちやすい点も利点です。

多様な働き方を用意できる

全国転勤型と地域限定型の相互転換制度を設ければ、本人の生活事情に合わせて働き方を変えられます。一定期間だけ勤務地を限定し、その後に全国型へ戻す制度も考えられます。

地域限定型採用のデメリット

  • 地域によって人員の過不足が生じても、配置転換で調整しにくい
  • 経験できる職務や昇進機会が地域内に限られる場合がある
  • 全国転勤型との処遇差について、不公平感が生じることがある
  • 限定された事業所を閉鎖すると、配置先の確保が難しくなる
  • 「転勤なし」の意味が曖昧だと、異動時に紛争になりやすい

採用時に明示すべき事項

2024年4月から、労働契約の締結時には、雇入れ直後の就業場所と業務だけでなく、それぞれの「変更の範囲」も明示する必要があります。地域限定型採用では、次の事項を具体的に記載します。

  • 雇入れ直後の勤務地
  • 将来異動する可能性がある事業所や地域
  • 転居を伴う転勤の有無
  • 出張、応援勤務、在宅勤務を命じる場合の範囲
  • 事業所の新設・統廃合があった場合の取扱い
  • 全国転勤型への転換条件と手続

「会社の定める場所」のような記載だけでは、応募者が異動範囲を予測しにくくなります。実際に想定する範囲と一致する表現にしてください。

就業規則と雇用契約書の整備

就業規則には地域限定正社員の定義、適用する賃金制度、昇進、手当、転換制度、事業所閉鎖時の取扱いなどを定めます。個人ごとの勤務地は、労働条件通知書や雇用契約書で特定します。

就業規則では全国異動を命じられる内容になっている一方、雇用契約書では勤務地を限定している場合、契約の解釈をめぐる争いが生じます。規程同士を照合し、矛盾をなくすことが重要です。

全国転勤型との処遇差を設ける場合

転勤範囲や役割の違いに応じて、基本給、勤務地手当、住宅支援、昇進上限などに差を設ける企業があります。ただし、地域限定という名称だけを理由に大きな差を設けると、従業員の納得を得にくくなります。

処遇を決めるときは、転勤の負担、職務内容、責任、期待する役割、異動による経験の違いを整理します。性別を理由として一方の区分に振り分けたり、昇進機会を制限したりすることは避けなければなりません。

短時間労働者や有期雇用労働者と比較する場合には、パートタイム・有期雇用労働法に基づく不合理な待遇差の禁止や説明義務も確認します。

地域限定型と全国型の転換制度

本人のライフステージや会社の人員計画に応じて区分を変更できるよう、相互転換制度を設けると運用しやすくなります。

  • 申請できる時期と回数
  • 必要な勤続期間、等級、評価
  • 面談や審査の方法
  • 転換後の賃金、等級、昇進の扱い
  • 一時的な勤務地限定制度の有無

転換を認めるかを会社の裁量だけにすると、選考の公平性が問題になります。判断基準を規程に定め、決定理由を記録します。

事業所を閉鎖する場合の対応

勤務先として限定した事業所を閉鎖しても、地域限定正社員を当然に解雇できるわけではありません。閉鎖の必要性、通勤可能な範囲の他事業所、別の職務への配置、本人が同意する地域外異動、希望退職など、雇用を維持する手段を検討します。

採用時から「事業所閉鎖時は自動退職」と定めれば常に有効になるわけでもありません。具体的な対応は、契約内容、会社の規模、他の配置先、閉鎖に至った事情などを踏まえて判断します。

地域外への異動が必要になったとき

労働契約で勤務地が限定されている場合、その範囲を越える異動には本人の合意が必要となる可能性があります。人手不足や繁忙だけを理由に、一方的な異動を命じるのは避けてください。

まず異動の必要性、期間、処遇、費用負担を説明し、本人の事情を確認します。一時的な出張や応援勤務で対応できるか、在宅勤務を利用できるかも検討します。

導入・運用時のチェックポイント

  • 地域の範囲を地名や通勤時間で明確にしているか
  • 求人票と労働条件通知書、就業規則の内容が一致しているか
  • 全国転勤型との処遇差を説明できるか
  • 昇進や研修の機会が不当に制限されていないか
  • 区分を相互に転換できる仕組みがあるか
  • 事業所閉鎖時の検討手順を定めているか

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