パートタイム・有期雇用労働法(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)とは、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁止する法律です。もとは1993年制定の「パートタイム労働法」でしたが、2018年(平成30年)7月6日公布の働き方改革関連法により題名が改められ、これまで対象外だった有期雇用労働者にも適用範囲が拡大されました。2020年4月1日に施行され、中小企業には1年間の猶予期間が設けられたうえで2021年4月1日に全面施行されています。
パートタイム・有期雇用労働法が定める主な制度
- 不合理な待遇差の禁止(均衡待遇・均等待遇):職務内容や配置転換の範囲などの事情を考慮したうえで、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間の待遇に不合理な差を設けることが禁止されています。同一の労働に従事する場合は同一の待遇を求める「均等待遇」と、労働の実態に応じたバランスの取れた待遇を求める「均衡待遇」の両方が定められており、この考え方は一般に「同一労働同一賃金」と呼ばれています。
- 待遇に関する説明義務:事業主は、雇い入れ時および労働者から求めがあったときに、正社員との待遇差の内容やその理由を説明する義務を負います。
- 労働条件に関する文書の交付等:昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口といった事項を、雇い入れ時に文書等で明示することが義務付けられています。
- 行政ADR(裁判外紛争解決手続)の整備:待遇差についての紛争が生じた場合に、都道府県労働局が無料・非公開で助言や調停を行う仕組みが整備されています。
参考:厚生労働省|パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために
企業法務での実務ポイント
- 就業規則や賃金規程を確認し、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との待遇差について、業務内容や責任の範囲等に照らして合理的な説明ができるかを点検しておく必要があります。
- 2026年10月1日には、労働条件明示事項の追加(待遇差について説明を求めることができる旨の明示)や、同一労働同一賃金ガイドラインの改正(賞与・退職手当・家族手当・住宅手当等に関する考え方の明確化)を含む改正が施行される予定であり、労働条件通知書のひな形や賃金規程の見直しが求められます。
- 労働者から待遇差についての説明を求められた場合に備え、判断根拠となる資料(職務分析・職務評価の記録等)をあらかじめ整備しておくことが望まれます。
- 対応を誤ると労働者との間で紛争や訴訟に発展するおそれがあるため、対応に迷う場合は早めに弁護士へ相談することをお勧めします。
参考:厚生労働省 Webマガジン|2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります―3つの改正ポイント
関連法令
- 労働基準法:労働条件の明示や就業規則の作成など、雇用管理の基本ルールを定めています。
- 労働契約法:有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合に無期労働契約への転換を申し込める、いわゆる無期転換ルールを定めています。
- 同一労働同一賃金ガイドライン:不合理な待遇差に該当するか否かを判断する際の基本的な考え方や具体例を示す指針です。
【関連記事】
【2026年10月施行】弁護士監修のチェックリスト付き!同一労働同一賃金の改正内容と実務対応
パートタイマーにも雇用契約書が必要になる理由と正社員との違い
有期雇用契約社員の契約更新で気をつけるべきことは?