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企業法務の用語集
定期昇給制度とは、労働協約や賃金規程などで定めた時期に、従業員の基本給を引き上げる制度です。勤続年数、年齢、職務能力、人事評価などを基準に、賃金表の号俸を上げる方法が一般的です。法律がすべての会社に定期昇給の実施を義務づけているわけではありませんが、制度を設けた場合は規程に沿った運用が求められます。
定期昇給は、賃金表そのものを維持したまま、個々の従業員を上位の号俸へ移す仕組みです。勤続や能力の向上に応じて、同じ等級の中で賃金が上がります。
一方、ベースアップは、賃金表に記載された金額を引き上げ、会社全体の賃金水準を底上げすることです。同じ号俸にとどまっていても基本給が上がります。会社は定期昇給とベースアップを同じ時期に実施することも、一方だけを実施することもできます。
これらは同時に行われることがありますが、法的な根拠や計算方法は別です。辞令や給与明細では、何によって金額が変わったのかを区別できるようにします。
一定の勤続期間を満たした従業員を、原則として一律に上位の号俸へ移します。将来の賃金を見通しやすい反面、能力や成果の違いを反映しにくく、年齢構成によって人件費が増えやすい方式です。
人事評価の結果に応じて、昇給額や昇給する号俸数を変えます。貢献を処遇へ反映しやすい一方、評価基準が曖昧だと、不公平感や紛争につながります。
勤続に応じた昇給と、評価に応じた昇給を組み合わせます。一定額を共通に引き上げたうえで、評価に応じた加算を行う方法などがあります。
導入時には、現在の負担だけでなく、将来の年齢構成、昇給停止年齢、等級ごとの上限、人件費の推移を試算する必要があります。
労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する事業場について、就業規則の作成と届出を求めています。昇給に関する事項は就業規則の必要記載事項であるため、制度の有無だけでなく、実施時期や条件が分かるように記載します。
「会社の業績等を勘案して昇給することがある」のような裁量的な規定と、「毎年一定額を昇給する」のような確定的な規定では、従業員の権利として認められる範囲が異なります。実際の運用と一致する文言にしてください。
定期昇給が就業規則や労働契約で確定的に定められ、長期間継続している場合、会社が一方的に停止すると労働条件の不利益変更として争われる可能性があります。単に業績が悪化したという理由だけで、必ず停止できるわけではありません。
従業員の合意を得ずに就業規則を変更する場合は、労働契約法第10条に照らし、不利益の程度、変更の必要性、変更後の内容の相当性、労働組合などとの交渉状況などを踏まえた合理性が必要です。次の手順で検討します。
過半数代表者の意見聴取は、変更内容への同意と同じではありません。不利益が大きい場合は、法定の手続を踏むだけでなく、個別同意や労使協議を含めて慎重に進めます。
年齢や勤続を基準とする制度から評価連動型へ移す場合は、評価項目、評価者、面談、異議申立ての方法を整えます。評価者ごとのばらつきを確認し、昇給しなかった理由を本人へ説明できる状態にしてください。
短時間・有期雇用労働者を制度の対象外にする場合は、職務内容、責任、配置変更の範囲などを踏まえ、待遇差を説明できるかも確認します。最低賃金が改定されたときは、定期昇給の有無にかかわらず、各従業員の賃金が適用される最低賃金額を下回っていないかを点検します。