弁護士とマッチングできます
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。
企業法務の用語集
従業員満足とは、従業員が仕事内容、処遇、職場環境、人間関係、成長機会などをどの程度肯定的に評価しているかを示す考え方です。一般に「従業員満足度」や「ES(Employee Satisfaction)」と呼ばれ、アンケートなどを用いて把握します。
従業員満足は、法律で定義された指標ではありません。統一された設問や計算方法もないため、他社の点数と単純に比較するより、自社で同じ設問を継続して使い、部門や時期による変化を確認する用途に向いています。点数を上げること自体ではなく、働きにくさの原因を特定し、職場改善につなげることが目的です。
従業員が職場をどう評価するかは、一つの要因だけでは決まりません。調査では、次のような項目を分けて確認します。
総合点だけを見ると、どこを改善すべきか分かりません。「給与には満足しているが評価基準に納得できない」「仕事には意義を感じるが長時間労働が負担」といった要因を分けて把握する必要があります。
| 比較項目 | 従業員満足 | 従業員エンゲージメント |
|---|---|---|
| 主な視点 | 仕事や職場の条件をどう評価しているか | 組織の目標へ貢献しようとする意欲や結び付き |
| 代表的な設問 | 給与、環境、人間関係などに満足しているか | 組織の方針に共感し、貢献したいと思うか |
| 活用目的 | 不満要因と職場課題の把握 | 組織との関係性や自発的な貢献意欲の把握 |
両者は関連しますが、同じものではありません。職場に不満が少なくても、組織の目標に強く共感しているとは限りません。反対に、仕事への意欲が高くても、過重労働や不公平な処遇を抱えている場合があります。調査目的に応じて指標を使い分けます。
離職の増加、特定部門の残業、評価制度への不満など、何を確認したいのかを明確にします。目的が曖昧なまま多数の設問を並べると、結果を行動へつなげにくくなります。
総合満足度に加え、仕事内容、処遇、上司、職場環境などを分けて尋ねます。選択式の設問だけでなく、改善案を書ける自由記述欄を設ける方法もあります。ただし、自由記述は回答者や第三者を特定できる情報が含まれやすいため、閲覧権限を限定します。
従業員には、調査の目的、回答の利用範囲、匿名か記名か、誰が回答を閲覧するか、結果をどのように共有するかを事前に説明します。「人事評価には使わない」と案内したのであれば、その運用を守る必要があります。
全社平均だけでなく、部門、職種、勤続年数などの属性別に傾向を確認します。ただし、人数の少ない区分は個人が推測されやすいため、一定人数未満を集計・表示しないなどの配慮が必要です。
結果を公開するだけで終わらせず、改善する課題、責任者、期限、確認指標を決めます。すぐに変更できない項目についても、対応できない理由や今後の方針を説明すると、調査への信頼を保ちやすくなります。
氏名、社員番号、メールアドレスなどと回答を結び付けて取得する場合、その回答は個人情報に該当します。記名式でなくても、所属、役職、自由記述などを組み合わせて個人を識別できる場合があります。
企業は、利用目的をできる限り具体的に特定し、本人へ通知または公表したうえで、その範囲内で回答を利用します。回答データへのアクセス制限、保存期間、削除方法、委託先の管理も決めておく必要があります。匿名調査と案内する場合は、回答者を推測できる形で結果を共有しないようにします。
参考:個人情報保護委員会|個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
評価への不満が高い場合、制度の説明不足なのか、上司ごとの運用差なのか、目標設定や面談に問題があるのかを分けて確認します。評価基準を示し、期初の目標設定と期中のフィードバックを行うことで、結果への納得感を高めます。
残業時間の平均だけでなく、特定の部署や担当者に業務が偏っていないかを確認します。人員配置、業務手順、会議、承認フローを見直し、休暇を取得しやすい運用に整えます。
ハラスメント防止方針を周知し、相談窓口を設け、相談があった場合は事実確認と再発防止を行います。相談者や事実確認に協力した人のプライバシーを保護し、相談を理由とする不利益な取扱いをしないことも必要です。
従業員満足度調査は、職場への評価や不満要因を把握するために企業が任意で行う調査です。労働安全衛生法に基づくストレスチェックとは目的も取扱ルールも異なり、従業員満足度調査を実施してもストレスチェックの代わりにはなりません。
2026年9月時点では、常時50人以上の労働者を使用する事業場にストレスチェックの実施義務があります。50人未満の事業場についても、2028年4月1日から義務化されます。制度対象の判断や個人結果の取扱いは、厚生労働省の実施マニュアルに従います。
点数が高いことだけを目標にするべきではありません。回答しにくい雰囲気や設問の偏りによって高く見える場合もあります。回答率、自由記述、部門差、継続的な変化を合わせて確認します。
率直な回答を得たい場合は匿名調査が適しています。一方、個別支援が必要な課題を把握するには記名式が向くこともあります。目的に応じて選び、匿名性の範囲とデータの利用方法を明確に伝えてください。
一律の決まりはありません。年1回の全社調査に加え、改善施策の進捗を確認する短い調査を数か月ごとに行う方法があります。改善できる頻度に合わせ、調査だけを繰り返さないことが重要です。
【関連記事】
ハラスメント規制法にむけて会社は何をするべき?会社の正しい対応ガイド