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企業法務の用語集
職種別賃金とは、営業、技術、事務、製造などの職種ごとに賃金水準や賃金表を設定する仕組みです。同じ会社でも、担当職種の仕事内容、必要な技能、人材市場での賃金水準などに応じて、基本給の決め方を分けます。
職種別賃金という名前の法律上の制度があるわけではありません。企業が自社の人材戦略や事業特性に合わせて設計する賃金制度の一つです。
職種を区分しただけでは、納得できる賃金制度にはなりません。各職種の仕事を棚卸しし、賃金差の根拠を言葉と数値で示す必要があります。設計時に確認する項目は次のとおりです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、雇用形態、職種、性、年齢、勤続年数などの区分で賃金の実態を確認できます。ただし、統計上の平均値をそのまま自社の賃金表に当てはめるのは適切ではありません。職種の定義、地域、企業規模、経験年数などの条件をそろえて比較します。
参考:厚生労働省|令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:調査の概要
職種別賃金は、職種というまとまりごとに賃金体系を分ける考え方です。一方、職務給は個々の職務の価値や責任を基準に賃金を決め、職能給は従業員が保有・発揮する職務遂行能力を基準にします。
実務では、技術職と営業職で賃金表を分けたうえで、各職種内の等級を職務や能力で決めるなど、複数の方式を組み合わせることがあります。2024年8月に公表された「ジョブ型人事指針」も、企業ごとの導入事例を通じて、職務の明確化や報酬制度との連動を示しています。
賃金の決定、計算・支払方法、締切り・支払時期、昇給に関する事項は、就業規則の記載事項です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を変更したときも労働基準監督署長へ届け出ます。職種の定義、賃金表、異動時の扱いが複数の規程に分かれる場合は、規程間の矛盾がないかも確認します。
制度移行によって基本給が下がるなど、従業員に不利益が生じる場合は、労働契約法第10条との関係を検討します。変更後の就業規則を周知するだけでは足りません。不利益の程度、変更の必要性、変更内容の相当性、労働組合などとの交渉状況その他の事情を踏まえ、合理性が認められるかを判断します。
賃金を据え置く経過措置、段階的な移行、手当の設定は、不利益を緩和する方法です。制度の目的と影響を従業員へ具体的に説明し、協議の記録を残します。
職種別賃金を採用しても、正社員とパートタイム・有期雇用労働者の待遇差が自動的に合理化されるわけではありません。職務内容、職務内容・配置の変更範囲、そのほかの事情を踏まえ、不合理な待遇差に当たらないかを待遇ごとに確認します。
同一労働同一賃金ガイドラインは、不合理な待遇差に関する原則と具体例を示しています。改正ガイドラインは2026年10月1日から適用されるため、職種別の手当や福利厚生を含めて点検しておく必要があります。
同じではありません。職種別賃金は賃金の区分方法を表す言葉です。ジョブ型人事は、職務の明確化を軸に採用、配置、評価、報酬などを組み立てる人事管理の考え方を指します。
職種が違うという理由だけで、すべての賃金差が認められるわけではありません。仕事内容、責任、必要能力など賃金差の根拠を明確にし、雇用形態による待遇差や差別的な取扱いに当たらないかを確認します。
一律には判断できません。労働契約や就業規則の根拠、減額の幅、異動の必要性、制度の運用状況などを確認します。大きな減額を伴う場合は、本人の同意や経過措置を検討し、実施前に弁護士へ相談したほうが安全です。
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