弁護士とマッチングできます
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。
企業法務の用語集
不定愁訴とは、頭痛、めまい、倦怠感、動悸、不眠、胃腸の不調など、本人が感じるさまざまな症状が続いているものの、診察や検査だけでは原因を一つに特定しにくい状態を表す言葉です。特定の病名ではなく、症状の訴え方を示す表現として使われます。
原因がすぐに見つからないからといって、症状が軽い、本人の気の持ちようであるとは限りません。身体疾患やメンタルヘルス不調が隠れている場合もあるため、職場だけで判断せず、医療機関での診察につなげることが大切です。
症状の種類や強さは人によって異なり、複数の症状が同時に現れたり、日によって変化したりします。不定愁訴という言葉だけで原因や治療法を決めることはできません。
不定愁訴の背景には、睡眠不足、生活リズムの乱れ、心理的ストレス、過重労働、職場の人間関係、作業環境など、さまざまな要因が関係することがあります。また、貧血、甲状腺疾患、感染症、更年期に伴う変化など、身体的な病気が症状の原因になっている場合もあります。
職場で「ストレスが原因だろう」と決めつけると、必要な受診が遅れるおそれがあります。症状が続くとき、仕事や日常生活に支障があるとき、急に悪化したときは、本人へ医療機関の受診を勧めます。胸の強い痛み、意識障害、突然の激しい頭痛など緊急性が疑われる症状がある場合は、速やかな救急要請が必要です。
厚生労働省のメンタルヘルス指針でも、労働時間、仕事の量と質、職場の人間関係、組織や人事労務管理、職場の文化などが心の健康に影響する要素として挙げられています。
上司や人事担当者は病名を推測するのではなく、いつからどのような不調があり、出勤や業務遂行にどのような支障が出ているかを確認します。「検査で異常がないなら働ける」と扱わず、本人の話を落ち着いて聞きます。
産業医、保健師、社内外の相談窓口を案内し、必要に応じて医療機関の受診を勧めます。産業保健スタッフがいない小規模事業場では、地域産業保健センターなどの事業場外資源も利用できます。
医師の意見を踏まえ、残業や深夜勤務の制限、業務量の軽減、作業の変更、休憩の確保、配置転換などを検討します。本人の希望だけ、または会社側の推測だけで措置を決めず、症状と業務内容に応じて期間や見直し時期を設定します。
使用者は、労働契約法第5条に基づき、労働者が生命や身体などの安全を確保しながら働けるよう必要な配慮をする義務を負います。不調の申告や長時間労働など、健康悪化をうかがわせる事情を把握した場合は、受診勧奨や業務上の配慮を検討し、対応経過を記録してください。
診断名、症状、通院歴などの健康情報の多くは要配慮個人情報に当たります。上司や同僚へ詳細を広く共有せず、健康確保や就業上の措置に必要な範囲に限定します。誰がどの情報を扱うか、保存期間や共有方法を定めた取扱規程を整備することも重要です。
不調を訴えたことだけを理由に、退職を迫る、評価を下げる、本人の意向や医師の意見を確認せず配置を変えるといった対応は避けます。休職や復職を検討する場合は、就業規則の要件と手続を確認し、同様の事例との公平性を保ちます。
厚生労働省は、セルフケア、管理監督者によるラインケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアの4つを継続的に進める考え方を示しています。個人への対応だけで終わらせず、業務量や人間関係など職場側の要因も見直すことが再発防止につながります。