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企業法務の用語集
役職定年制とは、従業員が一定の年齢に達したとき、部長や課長などの役職から外す人事制度です。会社を退職する「定年」とは異なり、役職を退いた後も雇用関係は続きます。対象年齢や役職、役職定年後の職務・賃金は会社が制度として定めます。
役職定年制は、管理職ポストの世代交代を進めるとともに、役職を退いた従業員に専門職や後進育成など別の役割を担ってもらうために設けられます。法律が企業に導入を義務付けている制度ではありません。導入するかどうか、何歳を対象にするかは各社が決めます。
年齢だけで一律に役職を外すと、経験や能力を生かせない場合があります。制度を設けるなら、役職定年後の職務、評価基準、報酬、異動先までまとめて設計する必要があります。
役職を交代する時期があらかじめ決まるため、後継者の選定や育成を進めやすくなります。若手・中堅社員に管理職として経験を積ませる機会も作れます。
役職定年後に専門職、プロジェクト担当、若手の指導役などへ配置すれば、本人の経験を現場に残せます。ただし、肩書だけを外して役割を示さなければ、本人にも周囲にも仕事の範囲が伝わりません。
年齢だけを理由に役職と賃金を一律に下げると、本人が評価されていないと受け止めることがあります。役職定年前に退職したり、培った知識が引き継がれなかったりすれば、会社にも損失が生じます。
役職を外した後も従来と同じ責任を負わせながら、役職手当や基本給だけを減らす運用は避けるべきです。職務、権限、責任、評価、賃金の関係をそろえなければ、処遇への不満や紛争につながります。
役職手当が役職への就任を条件とする賃金であれば、退任に伴って支給が終わることはあります。しかし、役職定年を理由に基本給まで減額できるとは限りません。労働契約や就業規則、賃金規程に根拠があるか、実際に職務や責任が軽くなるかを確認する必要があります。
新たに役職定年制を導入し、就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更する場合、労働契約法第10条が問題になります。同条では、変更後の就業規則の周知に加え、労働者が受ける不利益の程度、変更の必要性、内容の相当性、労働組合等との交渉状況などに照らした合理性が求められます。
役職定年は、雇用契約を終了させる定年とは別の制度です。役職定年制を設けても、高年齢者雇用安定法に基づく措置が不要になるわけではありません。
定年を定める場合、その年齢は原則として60歳を下回ることができません。定年が65歳未満の会社は、65歳までの定年引上げ、65歳までの継続雇用制度、定年の廃止のいずれかを実施する必要があります。70歳までの就業機会を確保する措置は努力義務です。役職定年後から定年・継続雇用までの職務と処遇を連続して設計することが求められます。
対象となる役職、年齢、例外を認める場合の基準を決めます。人件費の削減だけを目的にせず、後継者育成やシニア人材の活用方針と結び付けることが欠かせません。
配置先、職務、権限、評価基準、賃金、役職への再登用の有無を具体化します。本人との面談時期やキャリア支援の内容も定めておくと、役職を退いた後の働き方を共有できます。
役職定年の対象、時期、手続、処遇の変更を規程に記載します。既存社員に不利益が生じる場合は、必要性と変更内容を説明し、労働組合や従業員代表との協議経過を残します。規程を作るだけでなく、従業員が確認できる状態にしておく必要があります。
法律で決まった年齢はありません。企業が対象役職や人員構成に合わせて定めます。年齢だけを決めるのではなく、後継者育成の期間や役職定年後の配置先まで検討する必要があります。
廃止されていません。民間企業の役職定年制を一律に禁止・廃止する法律はなく、会社は制度を維持できます。ただし、高年齢者雇用安定法に基づく65歳までの雇用確保措置などは別に実施しなければなりません。
直ちに違法になるとは限りませんが、職務と責任が変わらないのに賃金だけを大きく下げる運用は紛争の原因になります。本人に期待する役割を示し、権限・評価・賃金との整合を確認してください。
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