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企業法務の用語集
就職内定率とは、卒業予定者などの就職希望者のうち、企業や官公庁などから内定を得た人が占める割合です。新卒者の就職状況を示す代表的な指標ですが、調査する機関や時点によって対象者・算出方法が異なります。そのため、数値だけを比べるのではなく、調査対象と基準日を確かめることが大切です。
文部科学省と厚生労働省が共同で実施する「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」では、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)から抽出した学校の学生・生徒を対象に、就職希望の有無や内定状況を調べています。
就職内定率は、一般に次の式で表せます。
就職内定率=就職内定者数÷就職希望者数×100
分母は卒業予定者全員ではなく、調査時点で就職を希望している人です。進学希望者、自営業を予定する人、就職を希望しない人などは分母に含まれません。また、調査途中で進路希望が変われば分母も変動します。
同調査は全国の全学生を数える全数調査ではありません。設置者や地域などを考慮して抽出した112校、6,250人を対象とする標本調査です。公表値を採用市場全体の傾向として見ることはできますが、自社の応募数や採用難易度をそのまま表す数値ではありません。
参考:厚生労働省|大学等卒業予定者の就職内定状況調査:調査の概要
就職内定率は、卒業前の特定時点で、就職希望者のうち内定を得た人の割合です。一方、「就職率」という言葉は資料によって分母が異なります。就職希望者を分母にする資料もあれば、卒業者全体を分母にして就職者の割合を示す資料もあります。
名称が似ていても、分母や集計時点が違えば単純には比較できません。企業が採用計画の参考にするときは、少なくとも次の点をそろえて確認しましょう。
民間調査では「内々定率」を早い時期から公表することがあります。内々定は、正式な内定通知より前に企業が採用の意向を伝える実務上の呼称です。公的調査の就職内定率と民間調査の内々定率は、対象者や調査方法も異なるため、同じ系列の数字として扱わないほうが安全です。
参考:文部科学省|令和7年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2月1日現在)
文部科学省・厚生労働省の共同調査は、10月1日、12月1日、2月1日、4月1日を基準日として実施されます。同じ卒業年度でも、就職活動が進むにつれて内定者が増えるため、後の基準日ほど内定率が高くなるのが通常です。年度をまたいで比較するときは、同じ基準日の数値を使います。
2026年3月17日に公表された令和8年3月大学等卒業予定者の調査では、2026年2月1日時点の大学生の就職内定率は92.0%でした。前年同期より0.6ポイント低下しています。内訳は国公立大学が93.7%、私立大学が91.5%、文系が91.9%、理系が92.8%です。
この数値は大学生の2月1日時点の状況であり、短期大学、高等専門学校、専修学校を含めた率とは異なります。また、2026年9月時点で企業が採用活動を検討する際には、対象卒業年度に対応する最新資料と、民間調査、自社の応募・内定承諾データをあわせて見る必要があります。
参考:文部科学省|令和7年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2月1日現在)
就職内定率が高い時期は、学生が複数社の内定を持っている可能性があり、内定辞退への備えが必要です。ただし、高い内定率だけを理由に採用予定数を大きく増やしたり、内定承諾を急がせたりするのは適切ではありません。職種、勤務地、業界、応募経路によって採用環境は大きく異なるからです。
実務では、公表された就職内定率を市場の参考値としながら、自社の選考通過率、内定承諾率、辞退理由、採用単価、入社後の定着率を継続的に確認します。内定通知では、入社日、就業場所、業務内容、賃金、契約期間などの労働条件を明確にし、内定者が判断に必要な情報を受け取れるようにします。
また、採用予定人数は事業計画や受け入れ体制に基づいて決めるべきです。景気変動や業績悪化が生じても安易に内定を取り消さずに済むよう、募集開始前から現実的な採用計画を立てることが欠かせません。
参考:厚生労働省|若者の雇入れを検討している事業主の皆さまへ
採用内定が出れば、常に同じ法的効果が生じるわけではありません。労働契約が成立したかどうかは、募集への応募、内定通知、誓約書の提出、通知された労働条件、当事者のやり取りなど、個別の事情から判断されます。
最高裁判所の大日本印刷事件判決では、当該事案の採用内定について、入社日を始期とし、一定の解約権を留保した労働契約が成立していたと判断されました。そのうえで、企業による内定取消しは、留保した解約権の趣旨・目的に照らして客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる場合に限られるとしています。
したがって、企業は「まだ入社していないから自由に取り消せる」と考えてはいけません。やむを得ず新規学卒者の内定取消しを行う場合は、ハローワークなどへの通知が必要になることがあります。取消しを検討する段階で、内定通知書や誓約書、選考時の説明、就業規則などを確認し、労務に詳しい弁護士や所轄のハローワークへ相談するのが望ましいでしょう。
参考:厚生労働省|若者の雇入れを検討している事業主の皆さまへ
採用市場の一つの目安にはなりますが、それだけで判断することはできません。調査時点、学校種別、地域、職種、業界によって状況が異なります。有効求人倍率や自社の応募数、内定承諾率などもあわせて確認しましょう。
文部科学省・厚生労働省の共同調査では、分母は就職希望者です。進学希望者や就職を希望しない人などを含む卒業予定者全員ではありません。ほかの統計を見るときも算出方法を確認してください。
内定によって労働契約が成立している場合、企業が自由に取り消すことはできません。取消しが有効かどうかは、取消事由の合理性や相当性、内定時の書類、当事者間の経緯などから判断されます。個別案件では早めに専門家へ相談してください。
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