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企業法務の用語集
年功制とは、年齢や勤続年数が上がるにつれて、賃金や役職も上昇する人事制度です。年功序列制度、年功賃金とも呼ばれます。長期雇用を前提に人材を育てやすい反面、担当する仕事や成果と処遇が釣り合わなくなることがあります。
法律で導入が義務付けられた制度ではなく、年功的な要素をどこまで賃金や昇格に反映するかは会社が決めます。実際には、勤続年数だけで機械的に処遇を決めるのではなく、職務、能力、役割、成果などを組み合わせる会社も少なくありません。
厚生労働省は、年功序列賃金について統一的な定義はないとしたうえで、勤続年数や年齢の上昇に従って基本給も上昇する仕組みと説明しています。代表的な運用は、年齢給や勤続給を基本給に組み込み、一定の在籍期間を昇格要件にする方法です。
年功制と対比される賃金制度には、能力を基準とする職能給、担当する仕事を基準とする職務給、成果や業績を基準とする業績給があります。ただし、どれか一つを選ばなければならないわけではありません。若手の育成期間は職能を重視し、管理職には役割や成果を強く反映するなど、社員区分によって設計を分けることもできます。
参考:厚生労働省|賃金制度改革:年功序列と能力評価の長所・短所
勤続に応じて処遇が上がる見通しを示せるため、長く働く動機をつくりやすい制度です。短期間では成果を測りにくい仕事や、経験の蓄積が品質に直結する職場では、時間をかけた教育や技能承継ともなじみます。
特定の職務だけで賃金を決めないため、ジョブローテーションや部門をまたぐ異動を行いやすくなります。将来の管理職候補を複数部門で育てたい会社には扱いやすい面があります。
年齢や勤続年数を基準に含めると、社員は将来の賃金を見通しやすくなります。会社側も、年齢構成が安定していれば一定期間の人件費を試算できます。
年齢や勤続年数の比重が大きすぎると、高い成果を出す若手の賃金が上がりにくく、同じ等級でも実際の貢献との差が広がります。中途採用者の経験を処遇に反映しにくい制度であれば、必要な人材を採用する際の妨げにもなります。
社員の高齢化とともに基本給が上がる設計では、業績とは別に人件費が増えます。役職の数が限られる会社では、昇格待ちが生じ、役割と肩書の関係も曖昧になりがちです。
勤続年数だけで昇給や昇格が決まるように見えると、成果を出した社員ほど不公平感を抱きます。年功要素を残す場合でも、能力や役割をどこで評価するかを社員へ説明できる状態にしておく必要があります。
短時間・有期雇用労働者については、正社員との不合理な待遇差が禁止されています。基本給の一部を勤続年数に応じて支給しているなら、有期契約を更新した期間をどのように数えるかも含め、雇用形態だけを理由に不利な扱いをしていないか確認が必要です。
関連記事:【2026年10月施行】弁護士監修のチェックリスト付き!同一労働同一賃金の改正内容と実務対応
年功給を縮小して職務給や成果給へ移すと、一部の社員の賃金が下がることがあります。会社が就業規則を一方的に変更して労働条件を不利益に変えることは、原則としてできません。労働契約法10条に基づき、変更の必要性、変更後の内容の相当性、労働組合等との交渉状況、経過措置などを踏まえた合理性が求められます。
制度の名称だけを変え、実際の評価基準を示さないまま賃金を減らす運用は避けるべきです。個別同意を得る場合も、減額幅や移行後の計算方法を示し、社員が不利益を理解したうえで判断できるようにします。
年功制を残すか廃止するかの二択にすると、制度変更の目的を見失います。職務や成果を測りやすい職種ではその比重を高め、技能の習熟に時間がかかる職種では勤続や能力の要素を残すなど、仕事に応じて組み合わせるほうが現実的です。
関連記事:法務担当者が知っておくべき就業規則の作成で事前に気をつけるべきこと
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実務では、ほぼ同じ意味で使われます。年功制は賃金制度を指す場面が多く、年功序列は昇格や役職を含む処遇全体を指すことがあります。ただし、法律上の統一された定義はありません。
年齢や勤続年数を賃金決定の要素にすること自体が直ちに違法となるわけではありません。ただし、雇用形態による不合理な待遇差や、性別などを理由とする差別的な運用は別の問題です。制度だけでなく、実際の適用結果まで点検する必要があります。
廃止によって賃金などの労働条件が不利になる場合、会社が自由に変更できるわけではありません。個別合意を得るか、労働契約法10条を踏まえて就業規則変更の合理性を確保する必要があります。対象者への説明と経過措置も欠かせません。
年功制は、年齢や勤続年数を賃金・昇格に反映する制度です。人材を長期的に育てやすい一方、仕事や成果と処遇がずれ、人件費が硬直しやすい問題があります。見直す際は、新しい評価基準を先に整え、社員ごとの不利益を試算したうえで、就業規則の変更と周知を進めてください。